こんな作家生活あってもいい……かも?
★★★★★
森奈津子さんが大好きです。
森奈津子さんは自身もバイセクシュアルと公言する性愛小説作家。
おもにエロコメディ分野で活躍していますが、「からくりアンモラル」などちょっと切ないSFを書かせても非常にうまく、「なつこ、孤島にとらわれ」(西澤 保彦 祥伝社文庫)ではなんと同業作家にヒロインとしてネタにされるという前代未聞の珍事が発生。
そんな森奈津子さんが以前書いた小説待望の文庫化。
主人公の学生作家・俊彦は悪人顔の男前だが、線の細い耽美な美少年に憧れている。
そんな俊彦が崇拝してやまぬ百合小説家・相原千里(ペンネーム愛原ちさと)は、「お姉さま!」「妹よ!」なベタベタ百合小説を「ほしがりません、売れるまで」の精神でひたすら書き続ける絶世の美形だが、その耽美な容姿とは裏腹に、慢性的な貧困ゆえ常に空腹で、生活能力の低い社会不適合者。なにかあればすぐ目をうるうるさせるも餌付けでコロッと機嫌をなおす(例「わーい、俊ちゃん大好き!」)ちょっと女々しくお馬鹿な26歳。甘辛みたらし団子が大好物。
そんな二人をとりまくのはいずれも強烈な性格と性的嗜好の作家、漫画家。カルト的人気を誇るギャグ漫画家田中彩子は真性レズビアンの暴君、そんな彩子の親友(?)にして顔を合わせば必ず口論に発展する人気漫画家・志木昴は、知的な風貌に丸眼鏡がよく似合う毒舌クールな美青年。志木のアシスタントで彩子をお姉さまと慕う美穂も含めた面々が繰り広げる日常ドタバタがもー楽しい!なんといっても志木が最高ですステキすぎますツボすぎて鼻血がでます。
ノンセクシュアルな千里は相手が男だろうが女だろうがセックスにまったく興味がなく俊彦の恋は前途多難なんですが、ぱっと見人間関係複雑な面々が志木のマンションに入り浸りワイワイ飲んだり食べたり騒いだり喧嘩しあったりする様はすごく楽しそう。
作品が売れなくて自信をなくす千里に発破をかける彩子の気風のよさも素敵だし、千里を崇拝すると同時に志木を尊敬する俊彦は純で可愛いし、なんといっても志木が!志木がいい!(結局そこに帰る)見た目はストイックで潔癖で無表情、性格も厳格できっついのに、ベッドの上では男だろうが女だろうが構わず寝るギャップがいい!
俊彦が「これどうぞ」と持参した新作を本人の前で読みながら「なんだか疲れたみたいだ」と眼鏡をとって、ごしごし子供っぽく目をこするんですが……クールな言動と子供っぽいしぐさのギャップに撃ち抜かれ、その後彩子に「胸にキスマークついてるわよ」と担がれ、あわててシャツの襟をのぞきこむシーンでやられた……なんだよお前可愛すぎだよ……
キャラの中では志木が一番好きなんですが、千里が好き好き大好きで夜のオカズにするなどとんでもない!自分が守らねば!と熱い想いを滾らせる俊彦はホント応援したくなるし、志木の事を「愛してる」(注・友情的な意味で)とさらっと言っちゃう千里は耽美なルックスと裏腹に男前で頼りになる一面も持ち合わせてたりで、ほんともー出てくるキャラがすごくいいです。ギャグもかっとばしてて爆笑でした!!
「1」と銘打たれてるって事は二巻もでるんですよね……
二巻では志木が受けか攻めかはっきりすることを願って待ちます!!
受けかリバ希望です!!