確かに私がこれまで読んだ記憶のないものがあります。それは以下の3話です。
「金!金!金!」
「不死鳥」
「おとずれた思い出」
「不死鳥」は手塚の代表作のひとつ「火の鳥」を意識した作品です。
少年チャンピオンで連載時に一度は発表されていながら、なぜその後単行本に収録されなかったのか、その経緯はわかりません。本巻にもその事情はつまびらかにされていません。
この巻に収められた「おとずれた思い出」「ピノコ再び」そして「台風一過」の三作品では、ピノコの切なさが胸を打ちます。
ブラック・ジャックが硬質でストイックな倫理観を大上段から振りかざす一方で、ピノコは健気で一途な姿勢で人の心に迫ってくるのです。
サブキャラクターとしてのピノコの魅力あふれる巻といえます。