謎解きなど、どうでもよいのであった
★★★★☆
いや、間違いなくミステリーなのだから謎解きも大事なんだけど、書き出しのモン・サン・ミッシェルの海に潮が満ちてくる場面、そこだけでも読む価値のある本なのだ。何度読み返しても、実際にその場にいるような緊迫感が伝わってくる名文、いや名訳。だれか映画にしないだろうか。
探偵ものとしても、これはまあまあだった。シリーズだというので他も何冊か読んでみたが、どうもいま一つ魅力に乏しい。
期待通りの面白さで、プロットも秀逸
★★★★★
スケルトン探偵シリーズの中で最高傑作との評価を得ている作品。
実際に読んでみて、やはり期待通りの面白さであり、プロットの出来も秀逸であると感じた。
骨を手がかりに謎を解くスケルトン探偵ということで、やや取っつき難そうな先入観があったのだが、
謎解き自体は非常にオーソドックスな本格推理であり、とても好感が持てる。
物語はフランスの古い領主館を舞台にしており、さらに莫大な遺産相続を巡る争いもあって、
古典的ミステリーを読んでいる様な趣も楽しめる。
また著者はプロフィールによると、いくつもの学位を取得した超インテリであり、
作品中にも著者の深い教養を窺わせるペダンティックなセリフが程良く織り交ぜてあって、
知的好奇心をくすぐられる。
このシリーズの他の作品も読んでみたくなった。
モン・サン・ミッシェルとギデオン
★★★★★
主人公が骨人類学者っていうのがちょっと変わってるけど、(いい意味で)基本を押さえたオーソドックスな推理小説。
主人公のギデオン・オリヴァーが、ナイスガイで白骨からいろいろと性別、人種、体格、殺害方法といろいろな事を次々と導き出してくるのが楽しいです。
また奥さんのジュリーがあきれるほど、ギデオン教授は事件を引き寄せる性質を持っています。いやー推理小説の探偵役にはかかせない資質ですね。
ジュリーや、ジョン・ロウなど、ギデオンの周りの登場人物が明るく好人物であるところも本シリーズの魅力。
友人たちとテンポ良く進む会話と、事件の展開が飽きさせません。
このシリーズは元々好きだけど、特に今回は今年の春に旅行に行ったフランスのモンサンミッシェルや、サンマロも主要な舞台の一つとして出てきて個人的に感慨深いものがありました。
背景の描写もグッドだと思います。
今回の"骨"には、第二次世界大戦の時のナチスがらみの骨も出てくるけど、そんなに話の展開はナチ臭がきつい!ってこともなく素直にミステリーとして読めました。
スケルトン探偵が魅力的
★★★★★
国内で翻訳されているスケルトン探偵シリーズにおいて、1作目にあたる作品(未翻訳のものが1冊ある)。名探偵役のギデオン・オリバーと彼を取り巻く友人たちがとても魅力的で、この作品を読んで以降、手に入る全ての作品を一気に読んでしまいました。
専門的なことは分かりませんが、骨から状況を割り出すというのは、現代の探偵に許された数少ない分野かも知れないと思わせるほど、探偵役に説得力があります。ギデオンの学者的なところや答えの導き方は、森博嗣S&Mシリーズの犀川先生に少し似ているかも。読んでいると、つい思い出してしまいます。もっと陽気で享楽的ですけどね。
北フランスの景勝地を舞台にした観光ガイド的な側面もあること、出てくるフランス料理が美味しそうなことも、ポイントが高いです。旅行好きにはたまりません。
モン・サン・ミシェルのスケルトン探偵
★★★★★
世界遺産として知られるモン・サン・ミシェルの浜辺で、地主の老人が満ち潮に溺れ死んだ。彼の屋敷からは、数十年前の白骨死体が発見された。講演のためフランスを訪れていたオリヴァー教授が謎に挑む。
スケルトン探偵シリーズは風景や食べ物の描写がいつもすばらしいが、中でもこの作品が白眉であろう。石造りの修道院、干潟に寄せてくる潮流、そして名物のオムレツ料理。もちろん、謎解きの方も天下一品だ。謎の死体と数十年前からの因縁。個性的な容疑者たち。ツイストにツイストするストーリー。再読してもおもしろさが損なわれることない名作である。