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キリマンジャロの娘

価格: ¥3,150
カテゴリ: CD
ブランド: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
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ファンクとエレクトリックへの止めようのないベクトル ★★★★★
1968年1月19・20・21日、9月24日ニューヨークで録音。
サックス奏者としてだけでなく作編曲に素晴らしい才能を持っていたショーターの加入はマイルスが自身のアルバムで自身の曲を演奏するのではなく、メンバーの曲を演奏するという選択をさせるようになっていた。簡単にショーター加入後のアルバムを列記してみると、

1965年1月『E.S.P.』
1966年10月『マイルス・スマイルズ』
1967年5月『ソーサラー』
1967年6月・7月『ネフェルティティ』→ここで、ジョン・コルトレーン死去
1968年1月・5月『マイルス・イン・ザ・スカイ』
1968年1月・9月『キリマンジャロの娘』
1969年2月『イン・ア・サイレント・ウエイ』
と繋がっていく。『E.S.P.』では4曲作曲していたマイルスは『マイルス・スマイルズ』では1曲になり、1967年5月『ソーサラー』と1967年6月・7月『ネフェルティティ』ではついに0となっている。メンバーの成長によりメンバーの曲を演奏しながら、実はマイルスの奥底には1967年に登場したジミ・ヘンドリックスに強いインパクトを受け、ファンクとエレクトリックへの止めようのない芽が目覚めていたと僕は見る。
それがついに爆発しだしたのが前作『マイルス・イン・ザ・スカイ』である。そしてほとんど同時進行的に録音された本作『キリマンジャロの娘』では、チック・コリアとデイブ・ホランドを参加させ、ファンクとエレクトリックへの止めようのないベクトルはついに完全にマイルスを貫いたのだ。

ここからは怒濤のようである。完全体となる1969年8月の3日間CBSスタジオで録音された『ビッチズ・ブリュー』から、マイルスが一時沈黙するまでの間に演奏された作品群は、ジャズ・ファンクという強烈なベクトルに、才能あるミュージシャンを次々と放り込み、その渾沌から何が見えてくるかをマイルス自身も若手も同時体験する。本作はそのはじまりである。

いつまでも聴いていたくなる不思議な名作  ★★★★★
60年代後半のマイルスはジャズの新たな変革への旅であった。ESP以後ウエイン・ショーターのカラーを前面に出し、自らは作編曲から一歩引いた形でブラックマジック的なミステリアスなサウンドを追求していた。マイルス・スマイルズ、ネフェルティティ、ソーサラといった傑作はマイルスの輝かしい経歴の中でもひときわ重要な意味を持ったアルバムなのだと思う。そん中、キリマンジャロの娘を高校3年のときにジャケットとタイトルに引かれ購入し、当惑した思い出がある。ビッチェズ・ブリューやインザ・スカイのエレクトリック・サウンドに比べると中途半端だし、メロディも奇妙な感じで乗り切れない。しばらくは、失敗したレコードとして、ほったらかしていた。ビッチェズ・ブリュー以後のマイルスは毀誉褒貶かまびすしいが、改めて60年代後半のマイルスに注目し始めてからこのアルバムの重要さがわかってきた。チック・コリアやデイブ・ホランドが参加した過渡期のマイルスだが、実はトニー・ウイリアムスを中心としたアルバムなのである。60年代後半のマイルス・サウンドの凄さは音が聴こえる部分以外から聞こえる何かがあるところだ。トニーのドラミングはそんな神秘的なリズムをたたき出し、我々を幻覚に陥れる魔力を持っている。背後にあるとてつもない音の予感。そんなマイルスの凄さを最近思う。
名作です ★★★★☆
60年代前半のマイルスは嫌いですが、「インザスカイ」から面白くなりました。このレコードは過渡期かも知れませんが、マイルスは完成しない時期の方がいいです。またアナログの方がずっといいですが、CDでも可です。
マイルス全作品中、最も謎めいた未完成作? ★★★☆☆
1967年のネフェルティティの後、ビッチェズブリューに至るまで、マイルスは相当迷いがあったのだろう。売上/人気の低下(していたらしい)レコード会社のロックへのシフト、という状況をにらみながら、あらゆる突破口を探っていたのではないか。このアルバムの取り留めの無さはオリジナルアルバムとしてはかなり異例である。とにかくソウル/ポリリズム多少のロックを生なかに詰め込んでいろいろ試してみました、というか、えらく落ち着きの悪い曲群が目白押し。ここまで何がしたいんだか、と思わせるマイルスもめずらしい。これなら没トラック集のウォーターベイビーズTwo FacedやDual Mr. Anthony Tillmanのほうが完成度が高く無いか? Tout De Suiteは特にめまぐるしく、いいぞ!と思うまもなく違うリズムになっていき...ただ、ここで試みられているフレーズが遥かビッチェズブリューで開花している感もあり。チックコリアのエレピは貧弱でエレピの良さを全く引き出せていない。参加の2曲はかなりソウルフルなだけに変な感じがより強まる。エレクトリックとして決まっているのはむしろ2~4のハービーのほうだ。3曲目 Petits Machinsのマイルスは吹きまくりでかっこいい。これがネフェルティティの頃のグループだとPinocchioみたいになっちゃってたかも知れない。ただ、新しさは感じるがコレまでのクィンテットをうち消すようなインパクトは無く、マイルスが次のステップに進むためにはジョーザビヌルの登場を待たなければならない。ちなみにこのアルバムは初の全曲マイルスオリジナルによるアルバム(Kind of Blueは除く)だという。最も、既に曲と言うよりはショーターやハンコックの持ってきたフレーズをつなぎ合わせて構成し直した、という感じだ。