本作は変化に富んでもいる。「Amours Des Feintes」は、うねるようなピアノがジャック・ブレルを連想させるし、「Baby Alone in Babylone」はキュートなクルト・ワイルといったところ。「Close to the River」は20歳で事故死したバーキンの甥(おい)が書いた詩。最後の「La Javanaise」は感動的なア・カペラだ。そういえば、ゲーンズブールは「Je T'Aime…Moi Non Plus」をもともとブリジット・バルドーと録音していたのだが、夫がこの曲を聴いたら卒倒するのではとバルドーが判断したため、バーキンが呼ばれたのだった。もしバルドーがそれほど夫想いでなければ、味わい深く感動的な『Arabesque』は生まれていなかったというわけだ。(Dominic Wills, Amazon.co.uk)