メディカルツーリストには、今のところ満点のガイドブック。
★★★★☆
類書が無い事もあって、対象者には満点であろうが、メディカルツーリズム自体を知りたい一般的読者にとっては、3点といったところか。
プランナー、どの国がどの医療行為に適しているか、ツアー中の注意、同行者への注意、FAQ的アドバイス、ドバイ・東欧・中南米・アジアに至るまで12カ国の、通貨・ヴィザ・必要な予防接種・主な治療と費用・JCI(米国医療施設認定合同委員会国際部)認定病院やホテル・回復施設などの項目を網羅しており、患者には参考になると思われる。
米版をそのまま訳すだけでなく、日本人向けに日本語の通じる東南アジアや台湾・韓国などの病院を追加収録してあれば、更に使えただろう。
日本では、アジア富裕層の患者を取り込もうと、検診と観光を組み合わせたツアーを計画し始めたが、医療ヴィザ制度すらなく、千葉の亀田メディカルセンターしかJCI認証取得病院がない現状では、アジア諸国と比べ数周の後れを取っていると言えよう。
メディカルツーリズムでは、日欧米の患者は自国より安く早く医療を受けられて良いのだが、受け入れ国国民は貧困と病気にあえいでるのではないか、日本でも高額を支払う患者しか優遇されなくなるのではないかと考えると、手放しで喜べない面もある。
健康と長生きは市場経済
★★★☆☆
基本的はアメリカ人のために書かれた海外の安くて良い病院ガイドブック。
いかにアメリカの医療費が高く保険状況が劣悪かがわかります。
すなわち、多くの人々が平等な医療を受けられない、逆に金さえあれば世界何処にでも旅行を兼ねて手術は治療が受けられる。
越境してメキシコで治療することなどは当たり前になっているようです。
さらに懇切丁寧に海外旅行のノウハウ(ビザ、予防接種、初めての海外旅行の心構え等々)まで記されています。
日本においても、金で解決する臓器移植のための渡航や美容整形での渡航は当たり前になっていますが、さすがに歯の治療や内臓疾患の手術で海外に出かけることはまだまだレアーなケースでしょう。
この様な海外渡航における医療行為をサポートする専門の旅行会社が存在するとともに受け入れ側の国も外貨獲得のために積極的に患者を受け入れているそうです。アジアにおいてはタイ、マレーシア、シンガポール、インドがリストに挙げられています。
シンガポールを除けば(一部のインドの都市も)まだまだ乳児死亡率や感染症で亡くなるヒトが多い様な国に先端医療が可能な病院が存在し、先進国から、値段の安さと観光のセットで続々とアメリカ人等が訪れず現実をどのように考えればよいのか?
外貨獲得により途上国の医療体制が向上するのであればよいのだが、市場経済という文脈から、その可能性を低く感じるのは私だけであろうか?