藤沢周平さんのお人柄が
垣間見れて楽しかったです。
温かい家庭の雰囲気が伝わってきました。

お医者さんの待合室で手にした週刊誌の目次を見たら阿川佐和子さんの対談者が遠藤展子とあり、
どなただろうなと思って中を読んだら、このお嬢さんのことでした。大病を患い苦労の末大成された藤沢周平氏のご長女による大作家の周辺本です。

和子さんという育ての母（生みの母は産後すぐに亡くなられたそうです）で藤沢夫人がとてもユニークで楽しいのです。直木賞受賞後だったか、求められて月刊誌に受賞者の妻として文を寄せたとき
「XX佐和子」というペンネームをつかわれたとか！ユニークで忍耐強くて鷹揚な婦人の鑑みたいでいて、それでユーモアもありで、お父さんを超えているようにかんじられました。

藤沢氏の経歴もわかりますし、ファンは必読だと思います。

職業作家さんの本ではないため、時として冗長、あるいは素人っぽさは感じられるものの、
本当に楽しく読ませてもらいました。

この頃、活字離れの進んでいた私ですが、この本はなぜだかスーっと入っていくことができました。
母にすすめられ、手にとってパラパラめくっているうちに、気がついたら読みふけっていた…という具合です。

本当に読みやすい文章で、父と娘・そして母とのほのぼのとした関係が綴られ、こんなに素敵な思い出をたくさんくれたご両親と暮らした著者はとってもシアワセな人です。
著者からみれば「藤沢周平という偉大な作家」ではなく、「たくさんの愛情をくれたお父さん」なのですね。

何気ない日常の中にシアワセってあるんだなー、とあらためて感じさせてくれる本です^^。