異色のスポーツノンフィクション
★★★★☆
アルカディア=理想郷。いまひとつタイトルの意味合いは分かりませんが、
独特の味わいのあるスポーツノンフィクションです。
日本のスポーツノンフィクションにありがちな、筆者独自の決め付けが殆ど
無く、逆に淡々とし過ぎている面もあるかも知れませんが、個人的にはその
タッチがとても好きです。
後、個人的には本書の人選が好きです。吉田義人、個人的に大好きなんですが、
本人の問題もあるのかも知れませんが、余りマスメディアの載らないので…。
スポーツと取材対象へのレスペクトと愛情
★★★★★
個別には雑誌掲載時に読んでいましたが、1冊の本になるとまた読み応えがありますね。
バレーボール山田監督の話、新日鉄釜石の話、茗渓学園ラグビー部の話が興味深かったです。
スポーツ好きには答えられない1冊です。
筆者藤島さんが、ベースにスポーツと取材対象へのレスペクトと愛情をお持ちである事が
この心地良い読後感につながっているのかなぁと思います。
吉田、宿沢、原、釜石
★★★★☆
ラグビーファンだったら気になる人ばかり書いてあります。
大学時代に光り輝いていた、吉田義人のその後。
最強のラグビー日本代表監督、宿沢広朗。
阿修羅原としても知られた、原進。
7連覇を果たした北の鉄人、新日鐵釜石。
名前や活躍は知っていてもそれ以上のことを知らなかった人たちのことが、
深く、細かく、情熱を持って書かれているので寝るのも惜しんで一気に読んでしまいました。
しかも読んでからもっともっとその人たちについて知りたくなる。
一冊の本で1人を取り上げて欲しいぐらい。
まさに熱狂のアルカディアです。
名指導者・名プレイヤーの心に鋭く切れ込んだ秀作
★★★★★
藤島大さんと言えばラグビーコラムをはじめ、ラグビー関連著作が有名だが、いやいや、他のスポーツに関しても他のスポーツジャーナリストとは一線を画する内容だ。
大さんの作品にはいつも取材対象への「愛」と「尊敬」を感じる。それがたとえ批判であったとしても、そこにはその競技への愛が必ず存在する。
山田重雄氏(バレーボール)のように晩年スキャンダルで世間を賑わした人物に対しても、指導法に対して公平な評価、尊敬の念を忘れない。
だからこそ、大さんの著作を読んだあと、読者は、取材対象への新しい理解と熱、そして愛を共有できるのだ。