「星影の小径」「黄昏のビギン」は特に素晴らしいですね
★★★★★
アン・サリーの声はとてもやさしく、心地よい響きを持っており、「癒し系」という範疇に留まらない歌手だと思っています。
昭和25年の小畑実のヒット曲「星影の小径」は最高ですね。無理をせず、自然体でさらっと歌っているのがステキです。何回も繰り返し聴きたくなる優しさに包まれています。オーガニック・ヴォイスと言えましょう。ジャズのスローナンバーのような雰囲気を持つこの曲を平成の世に蘇らせたことに拍手!!です。透明感溢れる日本語ですので、「言葉」が醸し出す情景と心情が直接伝わってくるシンガーですね。
「青春の光と影(原題Both Sides Now)」は、当時まだ無名だったジョニ・ミッチェルが作曲し、ジュディ・コリンズがカバーして大ヒットしたわけで、最近でもCMに使われていましたので若い方もよくご存知でしょう。一度聴いたら忘れないようなフォーク調の大変美しいメロディ・ラインをアン・サリーがとても情緒豊かに歌っています。当時のフォークブームを知っている人にとっては懐かしい曲が蘇ってきました。
アコースティック・ギターの伴奏に乗せて軽やかに歌われる未発表ライヴの「黄昏のビギン」にも聞き惚れました。少しウィスパー・ヴォイス気味に歌っていますので、かえってそれが情感を高めています。
「この素晴らしき世界」「胸の振子」もお気に入りです。全曲を通して、ジャジーな編曲とアン・サリーの優しい歌声がとてもマッチしています。
循環器(心臓)の内科医をしている彼女の歌声を聴いていると、「癒し」の治療を施してもらったような感じがします。