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黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)

価格: ¥578
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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堅く重たい文章だけど、ストーリーは面白い ★★★☆☆
文章がひたすらに読みにくい。冒頭で躓きかける事数知れず。

が、それを耐えれば、さすがと唸る展開が待っている。

キャラの思想、性癖、堅く重たい描写など、後に続く高村薫の作品群のフォーマットは、このデビュー作でほぼ出来上がっている。
「小説家 高村薫」の原点を垣間見る事が出来ると思う。

それにしても、この作品、タイトルがいいなあ。
高村さん3作目読了 ★★★★☆
銀行の地下金庫から金塊を盗み出そうと企てる男たちの物語

入念な計画と物資の調達、実行

長野駅での描写
午前11時、11時半、11時45分、11時48分…
長野を出て10分
12時34分だった
1秒か2秒

いよいよ決行の日
14:00、17:15、17:20…
18:50、18:52、18:55…
21:01、21:02、21:03

自分も同じ時間を共有し、その場にいるかのような錯覚に陥ります


幸田とモモさんの関係
「神の火」「李歐」に似た設定になっています
男性同士の友情を越えた絶対的な信頼関係がストーリーの要なんですね


「幸田さん、あそこへ行ってみようか…」
モモは、フェンスの向うの尖塔を指した。幸田は首を横に振った。あそこは遠い。絶対的に遠い。過去でも現在でもない。彼岸のように遠い、という気がした。
「…いつか行こう」
モモは静かに、だが、しっかりとささやいた。「いつか、行こう…」

いつか行こうと言った教会で、息を引き取ったモモ

この辺りからはずっと目がウルウルでした

男たちの中で唯一家族があった北川
この計画の発案者であり首領ともいえる彼はあくまで脇役
でも彼の存在が無ければこの物語はつまらないものになっていたかもしれません
渋い脇役ってとこかな


何年経っても印象に残っている ★★★☆☆
3年くらい前に初めて読んだにしては物凄い印象を残している作品。
とにかく強盗ものにしても夢のある内容で、手口も普通な術とは一線を画した常軌を逸したもの。他の方も書かれている通り緻密すぎるが故の説明口調が長々続くところはあるがそこは飛ばし読んでしまえばよい。大阪の街の構造を知らない人にとっては面白くない描写がながなが続く箇所もありますが知っている人からしたら頭の中で場所を思い出しながらより一層楽しめる。
高村のデビュー ★★★★★
 高村薫のデビュー作。

 綿密なサスペンスというような宣伝をされた本だが サスペンスだけでは片付けられない一種異様な作品だ。
 銀行の金庫から金の延べ棒を盗み出すという筋であれば 本来ならば爽快感のある 泥棒譚であるべきだ。オーシャン12、地下室のメロディー、等 映画ではあるが 僕の意見の好例であると思う。

 それに対して 本作は爽快感から程遠い。じっとりとした脂汗が目に入ったかのような「痛み」が本作の味わいだ。

 但し それが 高村の資質であったことは 今になってみると良く分かる。高村は その処女作にして サスペンス作家ではないことをはっきりと主張している。それが分からなかったのは僕らの不明であったということだ。

 高村は現在の日本が誇る純文学者だ。

鋭い人間観察と社会観 ★★★★☆
「私はミステリ作家ではない」と自ら公言しているにも拘わらず、ミステリ作家扱いされている作者のデビュー作。本書でも、金塊強奪という犯罪が描かれているが、本筋は、社会からあぶれた若者達がそういう計画を立て、実行していく姿を通して、現代社会や人間関係の問題を抉ることが主題なのだろう。

私は、本書を作者が無名時代に手に取ったのだが、今では信じられないかもしれないが、作者の性別がまず分からなかった(ミステリ界には北村薫氏という作家もいるのだ)。何故このような事を書くかと言うと、作中での銃や施設における電気配線等に関する描写が非常に精緻であるからだ。(失礼ながら)女性には書けないだろうなぁと思っていた。しかし、途中でホモセクシャルの話が出てきた時点で、やっと作者は女性だと確信した。この機械や銃器(あるいは取材対象一般)に対する精緻な描写は以降の作品でも続き、作者の特徴となる。

強奪計画が進むに連れ、登場人物の関係にも綻びが出てくるのだが、上述のホモの関係は余計であろう。緊迫感が薄れるだけだ。また、最後はああいう終り方しかなかったのであろうか、というのが大きな不満。あれだけ緻密な計画を立てておいて、最後があれでは無計画に等しい。まあ、ミステリを書くつもりは無かったのであろうが。

本書は、"小説家"高村薫の成功を予想させる見事な出来で、女史の出発点(実際には「リヴィエラを撃て」の方を先に書いていたようだが)として記念碑的な作品である。