共感しました
★★★★☆
鬱がある自分にとって、金原ひとみさんの作品はシンクロ部分が多くて、今回もかなり共感しました。 始めは前向きな気持ちがあるけど、だんだん意味不明な妄想が溢れ出す。だんだん自分の妄想に捉えられて、抑えつけられて、気づいたら前が見えなくなって身動きが取れなくなっていく、悪循環、その繰り返し。 苦しんでる反面、その意味不明な妄想をいつの間にか楽しんでるというか、気づいたら酔ってるというか、とにかく妄想して自分の中でどうでもいいことを拡大してしまう。必要以上の性連想。現実と自分を繋げるもの、性と妄想。とれない浮遊感。 大半妄想で生きてるような、というかそこから進みたいのに進めなくて、妄想で逃げてるような、ほとんど妄想で毎日が作られて、過ぎていくような日々。 鬱な人、なんらか精神病にかかってしまってる人は、この妄想→悪循環みたいな、自分で自分を異常に抑えつけてしまう人は多いんじゃないでしょうか。 このなんというか人に説明しにくい悪循環、鬱etc‥な人たちの頭の中の状況が、かなりリアルに描かれてるように思います。。 覇気のない人には覇気のない人なりの美意識がある‥。 終わり始まりが見えない、ぐるぐるした感じ。抜け出したい前向きな気持ちはあるけど、なかなか抜け出せない鬱etc‥な人、は共感したり金原さんの妄想ワールドを楽しめると思います。。が全然鬱とかじゃない健康的な人が読むと、どよんとすっきりしないお話かもしれません。 帯のところにイライラしてる全ての人にって書いてありますが、全ての鬱な人たちに、て書いてる方がいい感じなくらい、憂鬱、鬱!な人たちにおすすめな本だと思います。。
実験的作品
★★☆☆☆
これまでの作風から、次の段階へ移行しようと模索しているような印象を受けた。率直に言って、この試みが本書で成功したとは思わないが、このような試みをする姿勢は高く評価したい。小説の限界をどこにおこうかと、言葉ひとつひとつを実験的に扱っているようにも感じられた。煌きは感じるものの、次作に期待したい。
独特の世界感に惹かれるものあり
★★★☆☆
NHKの週間ブックレビューに著者の金原ひとみが出演した際に、司会の藤沢周氏は本書を絶賛していた一方、アマゾンのレビューは芳しくないので、一体どのような本なのだろうと興味が出てきて挑戦してみた。
結論としては思ったより結構楽しめた。ストーリー自体は単純で主人公の鬱病に悩む女性の神田憂が今日こそは精神病院に行こうとするのだが、結局何か別な出来事に遭遇して行けなくなってしまう、というパターンが繰り返される7つの短編集が収録されている。主人公以外の登場人物はカイズさんという中年男性とウツイくんという若い男性が毎回必ず出てくるが、この2人は名前こそ同じだが毎回違った役柄で登場する。
第1話のデリラでは異様な性描写に若干辟易してここで読むのを止めようと思ったが、2話目のミンクが話として結構面白くて、段々にこの世界に慣れていく自分に気付いた。ピアスも意外な展開に加えて知らない世界を覗き見できた気がして楽しめたし、結局最後まで読んでしまった。
評価は★3つか4つで少し悩んだが、事前に面白くないと覚悟して目線を下げていたため、面白さが増したような気もするため、3つとした。著者の他の作品も機会があれば手にとって見たいと思う。
金原さんの作品としては
★★★★★
中々楽しめました。
個人的には好きですね。
精神科、という
ヘビーな印象を受けるテーマと
それに行こうと思うものの行かない
というライトなテーマ。
なんだか不思議な作品でした
正直、さっぱりわからない。
★★☆☆☆
正直、ワケわからなくて、これが凡人には図りきれない芸術作品というモノなのだろうか、と
虚空に問いかけてしまった。金原ひとみワールド全開です。
物語は、7編に別れていて、主人公は「神田憂」。神経症を患っていて、精神科に向かおうとするのだが、何かしら邪魔が入り、辿りつくことができない。その繰り返し。
カイズ、ウツイという人物が設定を変えて登場していて、彼らが行く手を阻むのだ。ある時はコンビニの店員だったり、またある時は警備員だったり、バーテンダーだったり、ピアッシングの医師だったり、、憂は関わらないようにしたいという理性に反し、どうしても彼らに近づいてしまう。彼女の妄想は果てしなく、また突拍子もなく、それはほぼ性欲に支配されている。例えば、通りすがりの男性たちとセックスする場面を妄想してしまったり。その描写はあまりに具体的。でも彼女のココロはそれで癒されているわけでもなく、ココロ温まるわけでもなく、いうなれば木枯らしが吹いている。実世界では、他人と距離をおく憂。例え実際にセックスをしても、そのココロは冷め切っていて、相手の男性、さらには世間との深い溝が見えるかのようだ。彼女の足は地についていない。ただかろうじて繋いでいるものが、セックスであり、妄想なのだ。
子細にわたる性描写とふわふわ俯瞰する憂。そのコントラストの姿が物語の要であって、カイズ、ウツイが象徴となっているんだろうなあ、なんて思ったのでした。でも深く読みとろうという意欲さえも湧かないほど、内容は魅力無しでした。残念。