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緋色の記憶 (文春文庫)

価格: ¥650
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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久しぶりに・・・ ★★★★★
「記憶シリーズ」の中での最高峰です。
久しぶりに、ミステリ好きな人に勧めました。

ホーソーンの「緋文字」を読んでいた時の感覚が一挙に蘇りました。
中学生時代に、家にあった「なんとか世界文学全集」の中に「緋文字」があり、
とにかく「愛すべきでない人を愛した不幸」が強烈な印象を私に残しました。

過去が次第に蘇る恐怖と主人公の過去。
ゆっくりとしかし確実に真実に迫るその恐怖。
過去に縛られながらもそのまま生き続けて行かなくてはならない主人公。

この手の本は読み慣れているつもりでしたが、私には十分強烈でした。
ただ、「緋文字」を読んだ人でないと、このタイトルも印象が薄れると思いますし、
内容も「こんなんでは謎とは言えない」と思うかもしれません。

ちなみに、この本を薦めた人(ミステリ好き)からは、「結末が分かってつまらん」とのこと。
人によって様々な評価があるでしょうが、ミステリではなく小説として評価すれば、
極めておすすめの本です。
じらし、引っ張り、もったいつけて・・・ ★★★☆☆
はっきり言って、過大評価されている作品だと思う。クックは人の心の深淵に迫る作家だとよく言われるが、書き手が自分に酔ったような文章が時に鼻につくし、ヴィクトリア朝小説のような大仰な表現にも辟易する。

構成は緻密で、読者は「あの事件」の真相を知りたいがために、なかなか核心に触れない語り手(主人公)の「じらし」作戦に仕方なく付き合うのだが、全体の2/3がその「じらし」に費やされているので、もどかしくて仕方がない。かといって、最後にそれまでの伏線が一気に生かされて真相が明らかになるという快感もない。事件のあらましも殊更もったぶって隠し続けるほどのものでもないし、最後の最後に明かされる事の真相は、前半部分とは何の関係もなく唐突に告白されるだけである。

こういう似非ミステリ的手法で読者をたぶらかすのは実にあざとい。
「チャタム校事件」の恐るべき真相 ★★★★☆
原題は、The Chatham School Affair(チャタム校事件)。

主人公のわたし(ヘンリー・グリズウォルド)は、
ニューイングランドのチャタムの村で
「チャタム校」の校長である父を持ち、
自身もその学校の生徒である、15歳の少年。
年老いた弁護士となった彼が、
1927年の当時発生した「チャタム校事件」を
回想するという物語構成です。

このストーリーのユニークな点は、
「チャタム校事件」とは、どんな事件だったのか、
その全貌がなかなか見えてこないところです。

物語の冒頭、1926年8月、チャタム校に、美しい美術教師、
エリザベス・ロックブリッジ・チャニングが赴任してきます。
彼女は、やがて妻子ある英語教師、
レランド・リードと親密になっていくのですが・・・。

ヘンリーの紡ぐ物語は、
現在と過去を行きつ戻りつしながら進行していきます。
そこには、1927年に起きた事件に関する公判の記録もあり、
ヘンリーが証言台に立っているようなのですが、
では、どんな事件に関するものなのかは、なかなか明かされません。

この作品は、作品解説にもあるとおり、
「だれがだれになにを為したのか」、
その謎を巡るミステリと言えます。

その真相は、ラストで明かされますが、
それは、ヘンリーのその後の人生を変えてしまうほどの、
恐ろしい内容のものとなっています。

ところで、本書を読んでいて特に印象に残ったのは、
文章が美しいということでした。
抑え込まれた人物描写に思わず引き込まれてしまいます。
原文ももちろん素晴らしい文章なのだと思いますが、
訳文としても優れているのではないでしょうか。
それほど日本語的に美しい小説に仕上がっています。

この作者の文章は、
「雪崩を精緻なスローモーションで再現するような」
と評されているそうです。
文学的な香りのするミステリに、
一度酔いしれてみてはいかがでしょうか。
ノスタルジー ★★★★☆
孤独な老人の回想から始まる話。
封建的な田舎町で鬱屈した少年時代を送るヘンリーが出会った美しい女教師。
斬新な授業で生徒を魅了し、父と旅した異国の話を聞かせヘンリーの自由への憧憬を煽った彼女が当事者となったチャタム校事件の顛末とはー

推理物だと思って読むと、いつ事件がおこるのか人が殺されるのかとそっちばかりに意識が集中してじれったい思いをする。だがこの本のテーマはそこにあらず。
郷愁と回想。
誰もが体験した年上の女性への淡い憧れ、少年時代の終焉。
厳格な校長を父にもち、メイドのサラに身分差に阻まれた恋心を抱くヘンリーの思春期特有の焦燥や鬱屈などが繊細で情緒的な文体により瑞々しく描写される。
不貞な女の烙印を押され排斥されたチャニングの芯の強さ、凛々しさ、終盤で明らかになる彼女が法廷で嘘を吐いた理由が素晴らしい。
少年時代に犯した罪によりその後一生罪の意識に囚われ続け、妻子も持たぬまま老境にさしかかった現在のヘンリーと、愚かでひたむきな少年時代の彼との落差が深く静かに胸を打つ。

人の心の深奥に分け入り、その複雑さの一端を紐解く本書もまた広義のミステリーだと思う。
訳もところどころ変な語句が ★★☆☆☆
 自分の信条としてよほどのことがない限り読み止しはしないと
常々思っているが時々これが難儀となる本と出くわすことがある。
難解であり読みこなすのに時間がかかるかまたは退屈極まりない本。
本作は後者に属するが勿論放り出す程のものではない。評価が高い
ようなのでこれは意外であった。最後の一点に向かって物語が進行
するが、とにかくそれまでが飽きてしまう。サスペンスではあるの
だろうけれど文学ではない。中途半端。

 この手のジャンルは詳しくないので本作がどのような位置に属す
るかよくわからないのだけれどたとえばメアリー・H・クラークの
作品など読むと面白くて止められなくなる。色々な意味で「楽しむ
為の読み物」の範疇に入るのであれば本作のテーマは別として、とて
も読むのに難儀だった理由はさもありなんと思った。