プロ野球の人間ドラマ
★★★★★
巨人軍の清武英利代表が「叱る」というテーマでチーム内の様々なエピソードを紹介しています。首脳陣が選手を叱り、先輩が後輩を叱り、時には代表自身が選手から叱られたりもします。
高橋由伸は入団時、武上コーチに「こんなバットで打てるか」と言われ、東野は原監督に「直球とシュート以外を投げたらすぐに降板させる」と言われました。勝負の世界の裏側にある人間模様が生き生きと描かれています。記憶に新しい場面も満載。新聞記者出身で、現在は巨人軍内部に身をおく清武氏の面目躍如の一冊です。
ジャイアンツ再建のインサイドストーリー
★★★★★
面白いです。
「叱る」技術についてもそうですが、
それ以上に原巨人軍監督を中心に、
ジャイアンツの現場、第一線では、
何が語られ、何が目指されていたかが、
よく分かります。
ジャイアンツのインサイドストーリーだと思って、
本書を読むと、
報道されることのない舞台裏が、
ビビッドに迫ってきます。
気軽に読めるお勧めの1冊です。
野球人における”いいね!”ボタンの押し方
★★★★☆
読売巨人軍球団代表・清武氏が、野球人の「叱る力」について、さまざまなエピソードとともに纏めた一冊。ドン底状態のジャイアンツが頂点に至るまでの中、現役の球団代表という格好のポジションで観察しつづけた”叱る技術”は、ビジネスの世界でも有用な内容が多く、ジャイアンツファンならずとも興味深い内容である。
特に印象的なのは、選手から選手へ”叱る”言葉が発せられる時だ。本来プロ野球選手とはそれぞれが個人事業主で、お互いが競争相手である。そんな中、共通の目標へ突き進むために選手同士で叱咤のメッセージが交わされるときは、どんな場合でも特別な意味合いを持つことが多く、どのエピソードも味わい深い。
また、当然ながら現巨人軍監督・原 辰徳のエピソードも満載だ。おそらく原 辰徳という人は日本で一番叱れられた野球人なのではないか。高校・大学時代は父子鷹という特別な状況ゆえに父親から怒られ続け、巨人入団後は全国の巨人ファンから“チャンスに弱い“と叱られ続けた。そんな原 辰徳だからこそ、叱る技術も日本一なのかもしれない。
効果的な叱り方が実践される時には、どんな場合でも、しっかりと”いいね!”ボタンが押されている。それらはいずれも、分かりやすい形ではないかもしれないが、意外な状況で、意外な人から、意外な表情で、意外な言葉とともに、実に効果的な形でボタンは押されているのだ。
耳に心地良い言葉ばかりを交わし、”いいね!””いいね”!と声をかけあうような場所に進化はない。その世界を生かすも殺すも、”いいね!”ボタンの押し方一つなのである。
文章のプロをも唸らせる「言葉の力」
★★★★☆
著者の清武氏は現在、巨人軍の球団代表を務めている方ですが、実は出身は読売新聞記者という異例の経歴の持ち主。
すなわち、文章のプロなのですが、その新聞記者時代の職場での上司から部下へかけられる言葉(※文章ではない)は、
「よくやった」など、ありきたりなものが多かった。それに比べて、プロ野球の現場での首脳陣から選手へ、
あるいは選手から選手へかけられる言葉がいかに豊かで、前向きなものであるかについて語られています。
当然、巨人軍のエピソードが中心で、前著の「巨人軍は非情か」に書かれてるのとカブってるエピソードもあったりするものの、
とても読みやすく(そこは文章のプロ!)、プロ野球を知らない人でも、アンチ巨人の人でも、ふむふむとなる部分は多いと思います。
言葉以外のエピソードや裏話も多く、個人的には、清武氏が頼み込んで見せてもらったという、堀内恒夫氏が巨人軍監督時代、
試合後に書いていたノートの内容が興味深かったです。