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私の男 (文春文庫)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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不思議な感動、不思議な涙。 ★★★★★
禁忌の筈なのに、
どうしても二人を責められない。
むしろ応援したくなる。
何故かしら。不思議です。

ねじ曲がっているにも関わらず
そこにはどうやら愛があって、
暗い痛みに顔をゆがめながらも
互いが互いを手放せないで苦しんでいました。

例えば、後ろ暗さのないカップルたちの
愛の振りをしたお付き合いよりずっと、
必死で懸命な姿だと。

何だかよく分かりませんが泣きました。
インモラル作品の結末及びその後 ★★★★☆
インモラル作品のラストは崩壊あるいは描かれないというある種のお決まりを覆した本作.
ねっとりとした文章もあいまって,濃厚な作品に仕上がっている.
「 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」「少女には向かない職業」など暗い結末を迎えることの多い桜庭一樹の作品.
はまった時は面白いが,読後感の悪い著者の作品だが,本作は時系列を逆から順に書いていたために結末は早い段階で示される.
殺人が行われるし,インモラルな描写も多々見られたが,それでも時系列的な意味でのラストでカタストロフには至らない点に,ある種の安心感を持ち読み進めることができた.
以前著者の私の男に関するインタビューで「若いころは不幸な少女の未来を思い描くことができず,救いを与えることができなかった.年齢を重ねてこのような結末を描くことができた」と語っていた.
かつてのライトノベル作家の面影は途上人物に対するふざけた名前くらいのものだ.
嫌悪すべき耽美的な世界 ★★★★☆
 正直言って作者がこの本で何を言いたいかよくわからない。いや、言いたい事なんてはじめからないのだ。作者はただ、筆で書くのも憚られるような恐るべき禁忌の世界をリアルに書いてみたかっただけなのだ。その意味ではこの小説はとても成功している。近親相姦小説は過去からいろいろとあるが、この作品はその中でもっともリアルなものに違いない。男女の、そして親子の、救いようのないどろどろの世界。それが恐るべきリアルさで描かれている。そしてこの作品を読んでしまった読者は、もう背徳の道に一歩踏み込んでしまっているのだ。社会によって刷り込まれた近親姦への嫌悪感、自分の中に刷り込まれた道徳律、それらが本当に正しかったのかと見直しを迫られる。それこそが作者の狙いではなかったろうか。
 いや、やっぱり作者はただこの「世界」を描いてみたかっただけなのかもしれない…。
海に飲まれること ★★★★☆

女の子は、誰かの娘、恋人、母親。
それを一度に経験する運命は、やっぱり異常なんだろうか。
子供、恋人、親に対する愛情は、海みたいに大きなひとつのもので
みちひきが境界線をあいまいにして、いろんな顔を見せながら、ときには凍った刃を他人に向けて、自分自身を飲み込むものなのかも
「誰かとずっといっしょに、どうしようもない生き方がしたい」
おんなじ海に、一緒にまるごと飲まれたとき、
お互いの愛情の境界線自体がわからなくなったとき
そんな生き方ができるのかもしれない。
夢中で読了 ★★★☆☆
桜庭一樹さんが女性であることも、この本が直木賞受賞作品であることも
知らずに読みました。
ただ本の表紙がかっこいいなあ、きっとおしゃれな男女の恋愛小説なのだろう思って
選びました。
自分の知識の無さで、とんでもないテーマを描く小説を選んでしまったものの、
ページをめくるのがもう止められない、どんどん先へ先へと読み進めてしまいました。
桜庭さんの筆力が素晴らしいのですね。
夢中でページをめくってエンディングまで読ませるパワーに飲み込まれてしまいました。
不思議なのは、文中には「ぬめり」「湿気」「臭気」などモイスチャー度の高い
ワードが大判振る舞いされているにも関わらず、なぜか全体の印象は乾いています。
ごく個人的な感想ですが、「さらり」とした読みやすい仕上がりです。
この点が桜庭さんの魅力、実力でしょうね。
だからこういうテーマも選べるのでしょう。素晴らしいです。他の作品も読んでみたいと思いました。
ただこのようなテーマを選ばれる作家さんなら、読後の読者の心に「爪痕」を残してほしいなあ。
読み捨てられる作品では決してないですが、再読するほどでもなく、でもこんな素晴らしい文章を書くのに
おしいな、と思いました。