魂の孤独を知る人へ
★★★★★
久々に超お勧め。大切な近しい人にぜひ読んでもらいたいという本です。さかもと未明さんの自伝です。
CDデビューに抱き合わせの企画と言ってしまえば身も蓋もないですが、どうでもいいような新書も多い中、久々にヘヴィでがつんと来る本に出会いました。歳のせいかたびたび目頭が熱くなり文字が読めなくなってしまいました。大学卒業後、酒乱の父に厳格な母の反対を押し切り、漫画家を志望し、家を追い出されます。憎しみをエネルギーに変え、漫画を描くこと=生きることと、結婚や出産を諦めて走り続けて来たさかもとさんにある日難病である膠原病の診断が下されます。近い将来手は硬化し、自分の全てであった漫画が描けなくなるかもしれない…ひたすら前を向いて突っ走ってきた彼女の周囲には、気がつけば相談できる恋人も友人も家族も一人もいませんでした。。。
そんな彼女が、命に等しい漫画と、大好きなジャズを歌うことで、再び人生を仕切り直して行く過程が描かれています。周囲の人の温情が素晴らしく、それだけの知己を得たのもひとえにさかもとさんの人徳あってのことでしょう。ご家族と再び向き合う姿、その描写に私は強く心を打たれました。誰もが明日も陽が昇ると信じていますが、本当に日が昇るのということがどれほど素晴らしいことか、改めて思わざるをえませんでした。
私はまんまと乗せられてCDを購入してしまいそうです…