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堕天使拷問刑 (ハヤカワ・ミステリワールド)

価格: ¥2,205
カテゴリ: 単行本
ブランド: 早川書房
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カオスなホラー世界でのボーイ・ミーツ・ガール ★★★★★

本作では、主人公のタクマが、物語の舞台となる田舎町に来る前に、魔術崇拝者の
祖父が密室の蔵で全身の骨を砕かれて死んでいたという事件、そしてその数年前に
祖父と町長の座をめぐり争っていた一族の女三人が、不可解な状況で首を斬られた
斬首事件――目撃者の視界から一瞬だけ外れた間に首が斬られていた――が起き
ています。

さらにタクマが町に来てからは、彼の義母が斬首される事件、そして物語
の終盤近くになると、タクマの親戚で級友でもある人たちが殺害される事件
が起きます。

祖父の怪死については、主人公が突飛ながらも一応、合理的な
仮説を立てるのですが、真相はその斜め上を行くトンデモなもの。

終盤近くのB級ホラー感全開の活劇と併せてやりたい放題ですw


女三人斬首事件のトリックも「ありえねーw」といった代物
ながら、犯人や事件の性質から納得させられてしまいます。


とはいえ、その二つの事件は、いわば“彩り”に過ぎず、本作のミステリ的
眼目は、義母斬首事件以降の二種類のアリバイ・トリックにこそあります。

義母殺害事件の際に意図せざる共犯者が行っていたある行為、そして、
級友殺害事件の際の大胆不敵な“仕込み”など、頭のネジがはずれた
狂人たちのエキセントリックな発想と行動が秀逸です。


以上のように、本作はキワモノではありますが、学園ホラー・ミステリ+純愛物という、
とっつきやすいスタイルでもあるので、意外と抵抗なく読むことができるとは思います。

ただ、かなり大部なので、時間に余裕のある時に読むことをお薦めいたします。




どんどん深みにはまってゆく ★★★★★
 頭はとっつきづらい部分もあったが、学園モノらしいという設定がわかると、読みやすくなっていった。
 謎解きもそうだが、ストーリーの雰囲気に酔っていく自分に、著者の力量を感じた。
 どんどん先を読みたくなっていく作り方はスゴイ!
 ベスト・ミステリーの一角に入っていたから読んでみたのだが、「山魔の如き嗤うもの」よりずっとずっと、シッカリした内容で、その上面白かった。三津田信三はつまらない。
08年度一番面白かった小説 ★★★★★
 年間100冊ほどフィクッションを読みますが一番面白かったのがこの本です。実はもう小説のレビューを書くのはよしていたのですがこの本はレビューが少なかったので書いてみました。
 本格の持つ「いかがわしさ」が濃厚な作品です。主人公の思考は、とても中学生ではありえませんし、トリックも猛烈に胡散くさいものです。
 それでも、というよりそれゆえ、去年もたくさんあった面白い本の中でも1番面白かったといえます。三津田や京極でまだ満足できない方にお勧めします。
飛鳥部最高傑作 ★★★★☆
今までの飛鳥部作品は面白いのだが、いまいち印象に残る作品が無かったが、この作品はジュブナイル小説とホラー小説と本格ミステリがうまく融合している傑作であった。初めに起こる密室殺人の真相はバカミスっぽい落ちだが、その他の事件の真相はそれほどバカげてはいないので、良いと思った。しかし、後半にある化け物が登場するので、完全にリアリティを求めている読者だと肩透かしを食う可能性もある。
全体的に事件は、きちんと解決するし、犯人もある程度意外な人物だったので、ミステリ好きの人ならばかなり楽しめる傑作であるのではないか。
純愛小説ただし飛鳥部ワールド ★★★★☆
中学生が主人公。生意気さには正直腹が立つ。まるでジュブナイル小説。
ところが本筋はあくまでも回想録であり、プロローグとエピローグに加え、三部構成の間に入る「現在」(”間章”と表現している)が入り、なぜかすべてを許してしまう。
またしても飛鳥部の陰惨極まりない物語。主人公を取りまく環境のすべてが「ひとでなし」だ。
だが、個々が持つ性格と、「群衆」が持ってしまう性格とは異なることを、最悪な状況に置かれる主人公の中1生がきちんと理解していることで、読んでいるこちらが救われる。
なぜ中学生なのか?おそらく飛鳥部は若者が持っているはずだったピュアさを、今の高校生がすでに失っていることを知っているのだ。(いくら何でも小学生じゃね)
とにかく、どんなに陰惨な話しも、最後にハートウオーミングにしてくれる飛鳥部の魔術は健在だった。
飛鳥部のボーイ・ミーツ・ガール。待ってた甲斐がありました。