マルタを知る決定版が出た!
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地中海の真ん中、シチリアの先にある十字軍騎士団の島・マルタの本。意外にガイド・ブックや紹介書が少なかったので、ワクワクしながら手に取った。
まず目に飛び込む写真が素晴らしい!
世界遺産・ヴァレッタのライムストーンの街並み。ハーバー・クルーズ。騎士団時代から続く貴族の館やマナー・ハウス。色とりどりに咲き乱れるハーブの花々。荘厳な教会。ストーン・ヘンジにも並ぶ古代神殿遺跡。イスラムの痕跡。
地中海の青い空と海、むき出しの地肌と鮮やかな緑をバックに展開される世界は、タイトルにある「とっておきの島」そのものだ。
さらに引きこまれたのは、1カ月以上にわたる滞在経験をつづったエッセイ。
公用語が英語であるマルタは英語の語学学校が充実している。著者はそこに入学して「マルタの学生」となることで、現地の人々の中に入っていく。そして、冷静かつ温かい観察眼でマルタの人々の生活と魅力を伝えている。
とびきりおいしいといわれるマルタ・パン屋さん、伝統工芸のゴゾ・レースや銀細工のフィリグリーの製作現場、いまも活躍しているクラシック・バスの運転手とのふれあい。
そして、キリスト教徒の最大行事のひとつ、春のイースター体験。
旅の道案内はこうでなくちゃ、という上質なエッセイを満喫できた。この著者の次の作品を今から心待ちにしている。
マルタはヨーロッパのセレブお気に入りのリゾート地だけあって、癒しのエステを提供する五つ星ホテルやビーチ・リゾート、乗馬体験なども盛りだくさん。
文字どおり世界中から集まった語学学校のクラスメートや先生との交流は、スキル・アップを目指す学生やビジネスマンにも、貴重なライブ情報を提供している。
マルタ旅行を計画している方は必読だが、ワンランク上の旅体験を目指す人にも手にとってほしい一冊。
この本を読んで、ますますマルタに行きたくなった。