幻のアルバムがついにCD化
★★★★☆
QUARTETO EM CYがTHE GIRLS FROM BAHIA名義で発表した作品が、やっとCDで聴ける
ことになりました! アメリカの作曲家の作品をポルトガル語で、逆にブラジル人作家
の曲を英語で歌うという1967年に発表された企画盤で、存在は知っていましたが、
私も聴くのは今回が初めてでした。うーむ、やっぱいいですね。後期のユニゾン中心で
重厚に押してゆく作品も好きですが、前期のアクロバティックなハーモニーで聴かせる
彼女たちも、楽しくてかわゆくて大好きです。ブラジル人作家の曲はおなじみの曲も
入っており、英語で歌われているのはけっこう新鮮でした。
ファンならば、作品の出来はもとより、伝説の作品をやっと手元におけることにも、
至福を感じることでしょう。
さて、このアルバム、ライナーノーツにはオリジナルメンバーで録音された最後の作品、と
ありましたが本当ですかね? そもそも、前年エレンコから出た『QUARTETO EM CY
(ペドロ・ペドレイロ)』の時点で、シレーニが抜けてレジーナになっていたはずですが・・。
前出作品にも収められている「Canto De Ossanha」(ん? バーデン・パウエル
の曲なのに、なぜかこれポルトガル語で歌っているぞ!?)なんか聞き比べると、
やっぱこれはレジーナなんじゃないかな?と思いますが・・。
けっこう謎です。
天使の歌声アメリカ・デビュー
★★★★★
今年はボサノヴァ生誕50周年。しかし、10年前の40周年のときと比べて、復刻の動きが鈍い。
そんな中、ワーナーからうれしい贈り物が届いた。
シンガーズ・アンリミテッドと並ぶ、人類史上最も美しいコーラス・グループの1967年作が、世界初CD化と相成ったのだ。
本作は、QECの創立メンバーによる最終作であり、米ワーナー・ブラザースから本格的にアメリカ発信された初作でもある。
そのためか趣向が凝らされており、アメリカン・スタンダードをポルトガル語で、ボサノヴァを英語で、敢えて唄っている。
伴奏はさすがにちょっとモッツイが、コーラスの美しさは時を越えている。特にデオダード作曲の3曲目、ティアーズは、ほんとにウットリしてしまう。
以前から主張していることだが、文明国を席巻しているアメリカン・スタンダードより、ボサノヴァの方が、はるかに素晴らしいメロディを有している。本作を聴いて、改めてその事実を確認した。
「おお、スザンナ」なんて、彼女たちの歌声でなければ聴く気がしないからね〜
できれば、せっかくの歴史的復刻なのだから、少しくらい値段が高くとも、紙ジャケ(それに本作のような録音こそ、SHM−CDで)で販売して欲しかったところである。