詩編や雅歌も載るようになって、シャガールの出番が増えています。
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5年前に出版されたアートバイブルには載っていなかった場面を多く選んでいますが、聖書物語を前から順番に読めるように編集する以上、重複する場面はあります。
前書きに、「アートバイブルと合わせてご覧戴く中でより広範囲な聖書箇所を」とあり、アートバイブル2では、(アートバイブルに載らなかった)旧約の詩編・箴言・雅歌など、幻視的な場面が多く紹介されています。シャガールの出番は増えて27作品と、最も多く掲載される画家になりました。2位はレンブラントで18作品、3位がギュスターブ・ドレで16作品です。
レンブラントとシャガールは、どちらも聖書と縁の深い画家です。「オランダ人はレンブラントから聖書を学んだ」と言いますし、レンブラントの聖書の絵は誰にとっても分かりやすい絵です。(前作アートバイブルではレンブラントが圧倒的に多い。)ユダヤ教の経典を幼い頃から読んでいたシャガールは、文章の高い読解力を備えた画家であり「最高の挿絵画家」と歴史家に言わしめています。シャガールは詩人に近い精神世界を持った画家で、聖書を絵で解説する意味ではレンブラント等の方が分かりやすいでしょう。
前作同様に聖書の言葉がすべて載っているわけではなく、有名な語句を確認できなかったり、物語が飛んでいる箇所もありますが、言葉に関しては本来の聖書で確認するものと思います。本の最後に絵画などの『作者別』『所蔵場所別』の牽引が載っていることは親切だと思います。
前作同様、西洋絵画と聖書の入門書としても読めます。寝る前に絵本のように読んでいると、仕事の疲れも取れてしまう良書と思います。