美術館の図録よりも、ゆったりと聖書絵画を楽しめる。
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編者の町田俊之氏は芸大で修士課程を経て、牧師を11年間務めていらっしゃいます。美術とキリスト教、双方の理解がしっかりしています。
この本の特徴は、聖書の本文が載り、その解説文が載り、『大きな写真』で聖書絵画が載っていることです。
本のサイズは美術館の大型図録と同じ大きさですが、作品は図録よりもずっと大きく載り、見開き2ページ掲載された作品もいくつかあります。
ミケランジェロのアダムの創造、聖マタイの召命、ラファエロの奇蹟の漁り、などが見開きです。
ミケランジェロは3作品だけですが、見開き2ページの全体図の後、説明する箇所の拡大図も載ります。
天地創造から最後の審判までの46作品中、作家別の作品数ではレンブラントが7作品と最も多いのですが、写真部分がすべて1ページだけなので、全体的には多く感じません。ラ・トゥール(3作品が掲載)なども、絵画部分は1ページサイズだけです。
必ずしも初心者向けでもなくて、大きな図録を見ながら、ゆったりした時間を楽しめる良書だと思います。
力のある絵で、絵画の面白さに開眼
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絵に興味はあっても、鑑賞のしかたはよく知らなかったのだが、この本のページいっぱいの大きな絵と、堅苦しくない解説を交互に眺めていたら、「なるほど、絵ってそうやってみるのか」と、絵の面白さを気付かせてくれた1冊になった。
それに、「巨匠」といわれる作者の絵は、確かに力がある。体各部のバランスや表情、ミケランジェロの筋肉のリアルさなど見事だし、ブリューゲルの大人数をきめ細かく書き込む絵も時間がたつのも忘れるほど楽しめた。
そうした見た目の面白さに加えて、その絵のテーマ(この本では聖書)についても小難しくなく解説(というよりはエッセイといったほうが良いかも)されていて、各絵の背景を知ることで、その絵を芯まで味わったような気分になれた。
この本で開眼した絵画鑑賞初心者だが、この本で知った絵の見方を引っさげて、美術館に出かけてみたくなった。