もっともっと深く進みたくさせる入門書
★★★★★
本書は、小冊子だが説明が非常に丁寧で、門外漢のための入門書としては
これ以上は望めないのではないのかと思えるほどである。
ギブソンの提案した「アフォーダンス」という認知理論に関しては、
ずっと以前から知りたいと思いながら果たせずにいたが、本書を読了して、
大きな満足を感じた。
もちろん本書を読んだだけでは、この「新しいものの見方」に慣れることは難しい。
そのため「『アフォーダンス』は、知覚者の主観が構成するものではなく、環境の中に
実在する情報である」という「生態学的実在論」が素直に納得できたわけではない。
問いかけたい疑問もたくさん湧いてくる。しかし、その考え方は非常に刺激的で、
ナイーブに思いこんでいた自分の認知モデルが揺さぶられた。
さらに、本書から受けた刺激は、ギブソンの理論だけではなかった。
その理論を紹介する著者の、研究に対する態度にも感銘を受けた。
「彼(=ギブソン)に学ぶべきことの第一は、アフォーダンスの理論であることは
もちろんだが、それだけではなく、目の前にある現実にどれだけ忠実になれるか、
すなわち「理論」そのものからも自由になる方法である」という著者の言葉が
深く心に響いた。
アフォーダンスの初心者向け
★★★★★
情報についてのさまざまな視点があり、認知についてのさまざまな理論やフレームがあるが、アフォーダンスの視点を知ると、人はけっこう驚いたりする。本書は、ギブソンの理論を踏まえて、アフォーダンスの概念をわかりやすく説明している。アフォーダンスについて知りたい初心者向けの良書。
さくっと理解したいなら
★★★★☆
アフォーダンスの概念をさくっと理解したいならおすすめの一冊です。この本ではアフォーダンス概念の提唱者、JJ.Gibsonからの正統な流れの中でのアフォーダンスについて、認知や生理学的な側面からさくっと解説されています。
ノーマンによって道具やインターフェース、ウェブページなどのユーザビリティへと拡張される前の、ピュアなアフォーダンスの概念についてです。ですので、デザイン系でアフォーダンスという言葉に興味を持った、という方には少し領域が違うかも。
ただ、記述的な内容でとてもよみやすいです。
非常に解りやすく、よみやすい
★★★★★
アファーダンスを少しかじっている人や、もっとよく理解したい人にとっては非常に読みやすいと思います。
アフォーダンス理論入門書の奇跡
★★★★★
本書は、日本のアフォーダンス研究の第一人者である佐々木正人氏の手よる、
アフォーダンス理論の歩みを簡潔ながら分かりやすく書かれた本である。
アフォーダンス理論の理解には、アフォーダンス理論の創始者である
ギブソンの実証研究への理解が不可欠である。
ギブソンを取り巻いていた伝統的知覚心理学の理論に対して彼は
どのように反証していったのか。
本書には、彼はゲシュタルト理論や多様な眼に関する解剖学的研究等の
当時の新しい潮流からアイデアを得ながら、思考過程を空論では
なく実証的実験によって進めていったことが一つ一つ書かれている。
こうした研究の過程を117ページの薄手の書籍に図を多用して要領よく
説明してくれていることが読者の理解を助けてくれる。
このため、数ある佐々木正人氏の著書の中でも特に分かりやすい本となっており、
アフォーダンスの入門書としては奇跡的なまとまりとなっていると思う。
参考文献に関しても記述が結構あるため、更に研究を進めたい方にもお勧めです。