シングス・フォー・プレイボーイズ - インターネットデパート

甘くハスキーな声に酔いしれて・・・これこそ MELLOW だ！ ★★★★★

50歳を境にして音楽の好みが変わったように感じることがままあり、ベヴァリー・ケニーもその１例だ。昔は｢LIKE YESTERDAY｣が贔屓だったはずなのに、最近になって聴き比べると本ＣＤ｢SINGS FOR PLAYBOYS｣が最も心に沁みる。特に日本で根強いファンを持つベヴァリーだが、長い間作品は６枚のみ(ルースト３枚・デッカ３枚)と言われてきた。ところが、昨年から｢２人でお茶を｣｢LONELY AND BLUE｣と立て続けに未発表盤が発売され、ファンとしては有難い限りである。ちょうどよい機会と、今までの作品と聴き比べてみて気づいたワケだ。

エリス・ラーキンスの歌伴ものというと、最も有名なのはエラの｢IN A MELLOW MOOD｣だろう。スキャットで名を馳せたエラだが、あたかも大排気量車がトルクたっぷりに低速で流すかの如くゆったりと丁寧に唄い込んでおり、彼女の代表作の１つというのは充分に頷ける。対するベヴァリーはイタリアの小粋なスポーツカーといったところか？歌唱力では確かに劣るかもしれないが、ムードでは決して負けてはいない。しっとりと語りかけるようなその歌声は甘くハスキーで、特に高音でか細く頼りなげな裏声になりかかるところなどはドキドキしてしまう。

エリスとの軽妙な掛け合いのヴァースで始まる｢DO IT AGAIN｣は出だしの曲としてテンポが最高で、童謡風のイントロからリズムの変化が楽しい｢MAMA, DO I GOTTA？｣、旧知の作品だけに余計に胸を打つ｢TRY A LITTLE TENDERNESS｣(これもヴァースが素敵)とお気に入りを挙げ出したらキリがなくなる。オーケストラをバックに唄う｢LIKE YESTERDAY｣も悪くはないのだが、シンプルな方がベヴァリーらしさがより引き立つように感じている。ベヴァリーを知らなくてどれか聴いてみたいというお方には、ジャケットも素晴らしい本ＣＤを是非ともお薦めしたい。

名手エリス・ラーキンス ★★★★☆

名手エリス・ラーキンス ★★★★☆

ず～っと聴いていたい名作！ ★★★★★

　彼女はルーストに３枚、続いてデッカに３枚のレコードを残しているけど、本作はデッカ吹き込み中最初の作品。デッカの他の２枚はオーケストラをバックに歌ったものだけど、本作はバックがピアノとベースだけと言う非常にシンプルな構成で、彼女の歌を純粋に楽しめる趣向となっている。選曲は彼女の全６枚中最もシブい。

　ややハスキーで大人っぽくも甘い歌声と美麗な容姿のビヴァリー・ケニーが、シンプルな編成で渋い曲を歌ってくれる … ず～っと聴いていたくなる素晴らしい作品。