使用するのはExcelの中にあるピボットテーブルという機能。生データを表やグラフ化して自由な項目移動や条件付けができるほか、スライス&ダイス分析、ドリルダウン分析などが簡単に行えるというデータ分析の主力ツールである。本書ではこの操作解説とともに、ビジネスデータ分析の考え方や実践方法をまとめている。
売上額、在庫数、粗利率といった数字データや、その分析方法が多種多様であるのは混乱を招きやすい点だが、解説では分析を進めるポイントや、データのタイプと分析視点・内容の一覧などをまとめてくれており参考になる。具体的な分析では、データの並べ替えから動向や要因分析までの33パターンと、順位、比較、推移などの各グラフ、ABC分析グラフ、Zチャート、レーダーチャートといったグラフ分析が学べる。データ分析の基本である急激な落ち込みや伸びといった異常値の発見と要因の検討を、順序だてて明快に解説してくれるのは大きな特徴である。
さらに応用編として、営業や経理などの業務部門別データ分析、データベースと連携した分析、企業全体としての情報活用の進め方などもまとめている。付属CD-ROMの生データや分析結果サンプルデータなどを活用して、手元で操作しながら実践的にビジネスデータ分析が学べる本書。スキルアップは確実だろう。(棚上 勉)