定番の、エンターティメントBL、ですね〜
★★★★☆
普通に面白かったです。
地味で人見知りでちょっとボケてて後向きのイジケキャラ受け×「イケメン体育会系」といえばこんな感じ、というやや強引、でも爽やか直球勝負的な「ふつうの男」攻めのカップリング。
「彩」というブランド名で、ロハス、マクロビオテック、アロマ等を扱う会社の取締役で、実は「彩」のプロデューサーでもあるゲイの弘(受け)は男と別れて落ち込んでいた。屋上のハーブガーデンでべそをかいていると颯爽としたイケメンの降矢(攻め)に声を掛けられ、みっともない所を見られて慌てる。人見知りで口下手な弘だったが、中途採用の営業マンである降矢に懐かれて食事や仕事のリサーチなどに行くうちに降矢に惹かれていく。降矢はノンケだし、自分のような人間とは世界が違うと決めてかかっている弘はアイドルに憧れるように降矢に心を開いていく。「ともだちできた」とか「片思いって楽しいな」などと三十路を過ぎた男とは思えない呑気ぶりで、知らず降矢を癒していた。ある日、月明かりのハーブガーデンで弘が降矢にマッサージを施術していると「つきあいません、俺ら?」と云われ、呆然としている間に抱き締められてしまい……。
定番なストーリー展開で特に捻りはありません。出逢って、付き合って、大喧嘩して気持ちがスレ違って、仲直りしてHして、ハッピーエンド、というラブストです。なので若干「どっかで読んだ感がある」のは否めませんが、作家の手腕とキャラの良さでそれなりに楽しめました。少し笑えて少し切なくて、ラストは前向き気分で終わる、スタンダードな良作BLをお好みの方に。
予定調和な佳作
★★★☆☆
志水先生のイラストにつられて購入。
しっかりしたお話。
あんまりエロい物読みたい気分じゃなかったので、二人の気持ちのやりとりに重点が置かれていたのがよかった。
この作家さんとしてはエロ度はかなり低いけど、一般的には十分かと。
ベッドよりも映画館のやりとりの方がどきどきした。
ロハスやマクロビのうんちくもかなり幅を利かせてるけど、それも興味深かった。
容姿は地味で体は淫乱で性格がどこまでも後ろ向きで夢見る乙女な『彩』。
イケメンであることに嫌気がさしているけれども、基本的にはまっすぐで前向きで明るい元エリート。
くっつくまでが結構長いけど、それもほほえましく楽しめた。
「どうせ手に入らない、最初から憧れだと思っていれば傷つかない」とかつぶやいて無邪気に見つめる乙女っぷりと、その下心のない笑顔にくらっと来ちゃうノンケ。
ありえない、ありえない、と思いつつ、幸せな気分に浸れた。
後半の行き違いは、男女の恋愛と変わらない。
お互いの過去への嫉妬、価値観の相違、修復しようとする努力、そこまでしても一緒にいたいと願う二人にいろいろ身につまされたりして。
こんな面倒な性格の子、別れた方が楽だろうに。独占欲を刺激するのはなんとなくわかる。
元カノのトラブルは、できればもう少し説得力のある話でお願いしたかったのと、イケメンのイケメンによるイケメンのための苦悩があまりにご都合主義でたまに人格のつじつまがあってないので★を削減。
普通に恋愛小説を読みたいときにどうぞ。