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グローバリゼーションとは何か―液状化する世界を読み解く (平凡社新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 平凡社
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グローバリゼーションについてわかりやすく記された入門書 ★★★★☆
グローバリゼーションについて平易に書かれた入門書といってよいと思う。

研究開発(富)---->生産過程(固定設備)---->マーケティング(富)

生産過程(固定設備):生産の世界的な分散
研究開発とマーケティング:経営活動の中枢はこの管理機能にあるとし、経営支配の統合が行われる。

この過程で、「経営管理または高度技術専門家集団」と「ルーティンワークの単純な事務生産労働集団」へと、労働市場が二極化することを事例を用いて指摘している。

また、2008年後半以降の不況の一因とされる、「富の瞬時の移動」が、価格・購買・製品等々に即座に影響する環境がこれらの動きを加速させることなどが、語られている。

昨今の派遣切りなどを見るにつけ、まさにこの原理によって労働市場が二極化し、そのなれの果てとしての今が実感をもって理解できる。
グローバリズムとナショナリズムの共犯関係 ★★★★★
 現代世界を覆うグローバリゼーション。本書はその全体像を多角的に描き出そうとしたものだが、そのことによって、かえって内容が分かりにくくなっていることも否めない。しかしよく読めば、論点の中心がつぎの二点にあることが分かる。
 (1)グローバリズムとナショナリズムが相補的な関係にあること。
 (2)グローバル化には世界の統合化と差異化(差別)の二面があること。

 (1)では、ナショナルな領域性を侵すグローバリズム(特にグローバル資本)が、国家自体を崩壊させるのではなく、国家の機構や制度を、民営化や規制緩和によって変形・再編し、そのことが市民権までも侵害していることが指摘され、(2)では、グローバル化による世界の統合化が、世界的な規模での経済的・文化的格差を拡大させ、発展途上国の人々を低賃金で働かせるというかたちで、新たな人種差別、性差別を惹き起こしていることが指摘されている。

 いまナショナリズムが国家主義的に唱導されると同時に、国民の間で反米あるいは反中国が叫ばれている。そこにあるのは他者の排除である。しかし重要なことは、こうしたナショナリズムに陥ることなく、グローバル資本への抵抗の場を築いていくことだ、と筆者はいう。
 本書が出版された時期は、前年発足した小泉政権による民営化・規制緩和の大号令が喧しく叫ばれていた時期に当たる。そのときにあって、すでに政権の本質を見抜いていた本書のような主張がもう少し国民の間で共有されていれば、今日の状況はかなり変わっていたかもしれない。
経済的視点からのグローバリゼーション分析 ★★★★☆
経済中心のグローバリゼーション入門。
グローバリズムにともなう資本や人の移動など、わかりやすく書かれている。
ナショナルとグローバルがある種裏表の関係であることも興味深い。

ただ、ちょっと気になった点も。

まず、反グローバリゼーションが最終的に述べられておらず、アドホックな解決法しかありえないというのは事実なのかもしれないが、問題提起に比べて弱い気がする。

次に、筆者の言うほどヒトやモノはまだまだ自由には移動できないし、そうなるのがいいことなのかもわからない。部分的グローバリゼーションの状態では、グローバリゼーションの要求が、結果として他国のナショナリズムの擁護へとつながることは、日本の左翼の実情などからも見て取れる。そういう危険性に対しての考察がない。

また、反米ナショナリズムをやたら気にしているようだが、肝心のアメリカのナショナリズムがわりと軽く見られている気がする。アメリカ=自由でグローバル、という印象からなのかもしれないが、例えば日本がアメリカの会社やビルなどを買収していくのにたいして、アメリカ人は不快感を抱いた。これは、グローバリズムはアメリカのナショナリズムの発現の場であり、日本による買収はこの戦いに敗北した、そういう認識をしているということだろう。

あと、おそらくは国家において最も重要な、安全保障の観点からの分析はあまりない。こうした点の問題が残るかぎり、ナショナリズムにもまだまだ必要性はあることになるだろう。

と、いろいろ不満を書いたが、全体としては良書である。経済的視点については、グローバリゼーションへの入門書としてもかなりいい出来である
読み直すべき概説書 ★★★★★
グローバリゼーションという言葉が至る所で使われるようになって久しい。政界も経済界もこれを当然の前提として論じるようになっている。しかし、今もなおグローバリゼーションは進行中であり、各種の問題を生じている。グローバリゼーションの波に乗ったつもりの米国さえもその激しさを予想できなかったのか、メキシコとの国境で移民制限を始めた。EUもまた同様であるし、日本も間もなく外国人労働者への依存を始めようとしている。そのような中で本書のように早い段階からグローバリゼーションを複数の角度から検討したものを読み直してみる意義は大きい。善悪を論じやすいテーマながら、著者の視点は冷静を保っており、これはこのテーマに相応しいものだと思う。
グローバリゼーションのダイナミズム ★★★★★
様々な視点からグローバリゼーションについて多角的に述べられている。グローバリゼーションをめぐる一般的な議論についても一通り触れてあるので、グローバリゼーションを概観するには好著と言える。

著者がイデオロギー的に中立であろうとしていることに特に好感を持った。そもそもグローバリゼーションという現象は、右派左派それぞれのポリティクスが共犯関係的に絡みあう中で進展している。このことは、全てがグローバリズムの関係の中に包摂されてしまっているということを意味している。

その中において我々は何を考え、また、なすべきか。そのことを考える出発点としてもこの書籍はお薦めです。