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アリアドネからの糸

価格: ¥3,150
カテゴリ: 単行本
ブランド: みすず書房
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ロールシャッハ図版の制作過程を推理していますが, ★★★★★
それはもうホームズばりの推理で,説得力があり引き込まれました。図版の特徴を細かく分析して,ヘルマン・ロールシャッハがどのようにしてあの10枚の図版を作っていったかを再現しています。中井氏自身が絵をよくされるからこそここまで書けたのでしょう。図版の継起についての考察は中井氏独特のものですが,ロールシャッハテストの継起分析に際して大変参考になります。ロールシャッハを施行される心理士さんは,一度目を通しておくと良いかと。
あと,他のレビュアーの方も書かれている通り,いじめの発生に関する考察が秀逸です。子どもの,人間の残酷さに思いをはせ,暗澹たる気分になります…。
「いじめ」の発生過程を克明に描いている。 ★★★★★
冒頭の「いじめの政治学」において、

いじめる側が、どんな手順を踏んで

いじめを行っていくのか、

逆にいじめられる側がどのように

自殺に至ってしまうまで追い詰められて

いくのかが克明に分析され描かれています。

このいじめ分析は、浅羽通明氏をして

「いまだに中井氏を超える言説を聞いたことが無い」

と言わしめるほど。

テレビや新聞で、安易にいじめる側を戒めるメッセージを

送ってしまうと、いじめる者はそのメッセージを

いじめられる者にオウム返しで発して、

よけいに追い詰めてしまうという恐ろしさ。

公共の場で「いじめ」に関する発言をする方には

ぜひ「前提」として読んでおいて欲しい本です。
精神医学研究者の個人的エッセイ ★★★★☆
 アリアドネとは「ギリシャ神話の迷宮の王ミノスの娘で、迷宮の奥で怪物を探すテセウスに帰り道に迷わないため糸を渡す」のだそうである。複雑で怪奇な現代の迷える子羊たちに氏は「糸」を渡そうと試みる。

 中井久夫氏は精神分裂病への深い洞察と共感により、現代精神医学の一学派を築いた一人である。氏は多くのエッセイを書いている。氏の文学への傾倒は、生後2~3歳でこの世のものへの関心の芽生えとともに開始された。年少期からのたぐいまれなる記憶力は、早熟な文学少年であった氏の「心の風景」が視覚、聴覚とともによみがえり、読む者への共感をよびさます。「記憶」、「意識」への複雑な考察は一般人にも「なるほどそうだったのか」と思える部分も多い。氏はまた、幾何学的才能にもめぐまれ、ロールシャッハ投影法への考察、ヴァレリーの詩「若きパルク」への建築的考察は、秀逸の文章である。