火と汐・・・意味深なタイトル。
★★★★☆
書名にまず想像力を駆られてしまって、読んだ本です。火とは、京都の8月の風物詩大文字焼き(五山の送り火)の象徴。汐とは、海におけるヨット走行の象徴(この本での舞台のひとつは三宅島付近)。汐の場所で犯罪があったとき容疑者は火の場所にいたのだとアリバイを主張。完全犯罪が成立するのか、いや、もともとあらぬ容疑でシロであることが証明されるのか、それとも犯罪の計画が瓦解するのか、いや意外なところに真犯人がいたのか・・・。火と汐では物理的な距離もありすぎる。清張作品全般のなかで他作品と比すれば、突出したダイナミズムはありませんが、それは巨匠内部における相対論です。そういう意味で星を4つにさせて頂きました。