エベレスト最初の女性登頂者として知られる著者の、さまざまな雑誌に発表した短文を脈絡なく集めた本。全体の整合性がないので、ちょっとうんざりするが、それでもなかなか面白い一冊であった。
　エベレスト登頂の回想、なぜ登山を始めたのか、雪崩の恐怖など、それぞれに興味深い話が多かった。ゴミを回収する清掃登山を熱心に行うなど、ただ登るだけの人物でない点にも好感が持てる。登山記にありがちな、先人・同僚賛美、無駄にスタイリッシュな文章が見られないのも良い。

ハイキングからエベレストまで、どんな「山」でも楽しむのが身上といった趣のエッセイ集。
他章に比べてごくわずかなれど、「山の食卓」章に好感です。
「アイガーのビール」「エベレストの蒸しパン」…その場の空気と共にお相伴に預かった気がします。

さまざまな雑誌等への連載文をまとめたものだから仕方がないのだろうけど、

各々のエッセイの配列、章としての取りまとめ方はもう少し工夫が欲しかった。
一つ一つが光っているのに、どこか全体として散漫になっているのです。
編集にもう一工夫を要求して、星ひとつ減。