待たれる復刊
★★★★★
「九百人のお祖母さん」に収録されている短編は、意図的かもしれないが、
後半に行くほど、どんどんタガが外れていく気がした。
収録順については、浅倉久志氏が読後感を損なわないよう配慮されているので、
それは間違いないかなと思う。印象的なのは、やはり表題作。
そして、中でもとりわけナンセンスなのに好感度が高かったのはラストの「千客万来」。
「日の当たるジニー」は奇想小説の最高峰っていう感じ。
関西弁の「ブタっ腹のかあちゃん」、なぜに関西弁!? すごい面白いですわ。
ゼッキョー、ゼッキョー!の「町かどの穴」はシュールでドタバタ!
そしてひとつ気がついた。ラファティの書く物語の、ちょっと常識とのバランスがずれている
この感覚は、ムーンライダーズの詞に近いものがある。
個人的にはそう思った。同意が得られるかどうかは自信がないが、そんな気がした。
うーん、なんかめちゃくちゃ個人的な書評になっちゃったなぁ。まぁいいか。
(追記:2008年夏に復刊されました! よかったです)
独特の味を楽しむ短編集
★★★★★
日本の作家でいえば内田百鬼園のような、妙な味わいのある短編集です。「ブタっ腹のかあちゃん」は絶妙な関西弁訳。あと個人的に好きなのは「山上の蛙」だな。独特の世界です。
ぼくの選ぶ短編集の第一位
★★★★★
短編作家R・A・ラファティの日本オリジナル短編集。
何十冊とSFの短編集を読んだが、その第一位に推すのはこの本である。
ラファティは奇妙で愉快で独創的だ。ぶっとんでいるのに論理的で、しかも心地よいほどに短い。
「町かどの穴」がいちばんの傑作だと思う。
他にも、「七日間の恐怖」「その町の名は?」のようなすっきりしたオチは面白いし、
「時の六本指」「カミロイ人の初等教育」のような奇妙な世界観で突っ走る論理も大好きだ。
ともかく、読んでみることをおすすめする。