『カルミネ・メオ』時と今回のアルバムを比較すると、天と地の差と言っても過言ではありません。前作では他人の楽曲を歌う側でしたが、この『エマ・シャプラン』では全ての楽曲をエマ自らが作曲し、自作を歌っているからです。のびのびと自らの世界を歌い上げるエマ。以前と比較すると歌唱力がぐんと磨かれ鍛えられ、美しい声はさらに艶を増しました。アーティストの中には、風に吹き飛ばされてしまう様な儚く優美な歌声を持つ人もいますが、エマはそう言ったタイプのアーティストではありません。生命力、エナジーに満ちた気高く澄んだ声。深い悲しみや絶望も力強く歌いあげます。悲しみの向こうには必ず光があると信じる様に。
エマの音楽の世界は深く神秘的で、聴く者を別世界へ誘い、様々な世界を旅している気持になります。そしてエマの音楽はクロスオーヴァーよりも、オペラを聴いている感じですので、クラシックファンの方にもお薦めです。しっかりと自分の世界観と美意識を持ったエマ・シャプラン。音楽を愛してやまないエマの、今後の活躍が楽しみで仕方ありません。
クラシックが苦手な方にこそ、聴いて貰いたい一品です。