こういう本を待っていた!
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なぜ今までこういう本が出なかったのか、と思わずにはいられない、異稿・編曲ファン待望の書である。
ネット時代になり情報量が格段に増えたとは言え、まだまだこのジャンルにおいて体系的にまとめられた
資料は少ない。
特に、作曲者自身のものについてはともかく、後年になって他人(主に演奏家)が編曲したものはある種
無法地帯であり、その音盤情報の多くは愛好家・収集家の口コミ情報に頼らざるを得ないのが実状だった
のではなかろうか。
本書は(既出資料に当たるだけでなく)、様々な情報を丹念に拾い集め、著者自身も多くのCDを収集し
その内容を実際に確認する等、大変な労作と言える。
本書が、少しでも多くの人々にとって「異稿・編曲のたのしみ」の海に乗り出すガイドになることを願う
とともに、(少々気が早い話であるが)続編に大いなる期待を寄せるものである。