シリーズ第三作目は、まずは5手詰めからスタート。「あれ?『詰将棋道場』って、こんなに簡単でいいのだろうか?」などと多少とまどいつつ、7手詰めに突入。これも同じく、わりと簡単な問題が多く、また、三冊目ということもあり、「ああ、またこの筋か」と感じるケースも些かあり。そして最後に、百花繚乱の9手詰め。このあたりに来てようやく、改めて詰将棋道場というシリーズの素晴らしさに心を動かされました。簡単な詰めの中にも薫る奇抜さに頼らぬ熟練の味わい深さ、時折現れるそこそこ骨のおれるプチ難問、シンプルな配置に対する一途なこだわり、鮮やかな収束を追求する頑固なまでの美意識、とにかく分かりやすい解説。まさに、詰将棋の道場そのものです。勝浦先生は同じ問題を何度も繰り返し解くことを上達の秘訣にあげていますが、本書なども当然、それに値する一冊と言えるでしょう。シリーズ第四作・第五作の刊行を切に期待します。そして、本シリーズをまだ手に取ったことのない詰将棋ファンの方には、どれか一冊だけでもまずは取り組んでみられることをお薦めします。