バド・パウエルはモダン・ジャズ・ピアノの父といわれる人。ビバップの語法をいち早くマスターし、新しい時代のピアノ・スタイルを完成させた。後続のピアニストに与えた影響力も絶大である。今日ではごく当たり前のピアノ~ベース~ドラムスというトリオ編成を一般的なものにしたのもパウエルである。しかしパウエルは破滅型のジャズマンだったため、麻薬所持で逮捕されたり精神病院で過ごしたりと、私生活は不安定だった。そのためピアニストしての絶頂期は短かった。
これは47年の初リーダー・セッション8曲と53年の8曲をカップリングした作品で、モダン・ジャズ・ピアノのバイブルとまでいわれる名作。特にカーリー・ラッセル&マックス・ローチと組んだ47年の演奏では、天才ぶりを遺憾なく発揮している。アップ・テンポの<2>はスピード感と泉のように湧き出るイマジネーションの豊かさに圧倒される本作のハイライト。53年録音(後半の8曲)は、ジョージ・デュビビエ&アート・テイラーとの演奏。(市川正二)
4曲目は美の極致
★★★★★
超ド級天才人間バド・パウエルの鬼気迫る神がかり的な演奏が聞ける最高作です。
早い曲ばかりが注目されがちですが、私は4曲目のバラードがベストと思います。
この世の物とは思えないほど美しい、美の極致とも言える演奏です。
ショパンにもこれほど美しい作品はありません。
とても人間とは思えません。
それほど凄いです。
初リーダー作。
★★★★★
マイルス・デイヴィスにいわせると、ジャズ界で真の天才と呼べるのは、チャーリー・パーカーとバド・パウエルのふたりだけなんだそうです。
という訳で、そのパウエルの代表作として筆頭に挙げられる1枚(他にもあるけど)にして、ピアノ・トリオに於けるスタンダード中のスタンダードであり、聖典。
天才の絶技が炸裂するM2をはじめとして、「好調なパウエル」の空恐ろしさ(?)が、16トラック、45分足らずの中にこれでもかと凝縮されてます。
聴けば聴くほど引き摺り込まれ。ああ、凄い。
お薦め。
モダン・ジャズ・ピアノのスタンダード盤
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ジャズ・ピアノが根強い人気を博しているのはビル・エバンス以降のモードを消化し、さらにスタンダードな演奏が心地よいキース・ジャレットやマッコイ・タイナーなどのテクニシャンの存在に拠る部分が大きい。ピアノの表現の幅はソロからデュオ、トリオ、4,5といったコンボ、さらにはオーケストラのキーマンまですべての演奏形態にまで及ぶ。それだけに音楽の全体を支配するバーサータルな存在なのであろう。従って、常に革新、変革していくバックボーンとして関わってきたピアノはますます重要度をキープしていくことと思われる。しかし、もう一つ忘れてはならないこととして、モダン・ジャズの黎明期にピアノが果たした役割である。パーカー、ガレスピーというホーンの2大イノベーターの影に隠れがちだったが、セロニアス・モンクとパウエルの残したピアノの異なった可能性である。モンクはさておき、パウエルの左手のコンピングと右手のメロディ・ライン、インプロビゼーションの天才的なひらめきはビ・バップからモダン・ピアノ・トリオへの道を開いてくれた。40年代末から53年までの演奏を集めた本アルバムこそ、モダン・ジャズ・ピアノのスタンダード盤として愛聴されるべき傑作アルバムである。
モダン・ジャズ・ピアノの不滅の金字塔
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精神病や麻薬禍に悩まされて、長期にわたってハイレベルを保つことが出来なかったパウエルだが、この1947年の録音は至高の名演というべきもので、これを聴かずしてモダン・ジャズ・ピアノは語れないと言っても過言ではない。
後のピアニストに与えた影響も絶大で、ピアノ・ジャズのファンはまずこのアルバムから聴き始めるべきである。
当然の事ながら音質は良くないが、音だけいい最新録音の愚作を十枚聴くよりも、この一枚を聴くことから得られるものの方が遙かに多いと思う。
「指」という芸術。
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「人間の指って凄いなー。こんな使い方もできるんだ。」と感心しました。最初は早送りしてるのかと思うがそうではない。天才の天才たる所以である。努力すればどうというレベルではない。ただ素直にビックリしながら身を任せるだけでよい。本物を知るのは人生の至高の瞬間に相違ない。