日本のもの創りの本質を知るためには最適の教材
★★★★★
日本のもの創りの本質を知るためには最適の教材だと思います。それは次のような理由です。第1にピアノ創りには全くの素人であったヤマハの創始者が情熱と行動力、そして、周囲の協力の下に世界最高とも言われるグランドピアノを世に送り出すまでのドラマを詳細に知ることが出来きます。第2に量産を前提とした工業製品としてのピアノ作りの技術を如何にして確立して行ったかを知ることが出来ます。そして、第3番目、最も重要なことですが、工業製品ではなく楽器として世界最高峰のグランド・ピアノを創り上げようと努力し、そこには大きな壁が存在することを知ることが出来ます。また、スタンウエイのピアノ創りとその歴史と比較すると更に参考になります。
日本初のコンパクトなピアノ史
★★★★★
それほど期待せずに購入したがプロローグのグレン・グールドとヤマハのピアノの出会いのエピソードを読んだだけで書き手は文章のプロであると直観した。そのため最後まで安心して読み通すことができた。本の内容は書名から想像される通りの本で期待を裏切らない。レビューに詳しく書かれている通りである。山葉寅楠に始まり、主だった人物を中心に話を進めていくスタイルは小さな伝記の集まりのようで飽きることがない。
これだけの内容をまとめるには膨大な調査が必要であったであろうとは容易に推測できる。二人の著者の努力には敬意を表したい。ピアノが弾ける弾けないとは関係なく、日本の音楽史・工業史に多少なりとも興味のある人には読んでもらいたい一冊である。