”ブルーノート版”オスカーピータンソントリオ
★★★☆☆
スリーサウンズのCD購入は一つの賭けである。吉とでるか凶と出るかはあなた次第である。極論すれば彼らの作品に名盤はない。スリーサウンズがジャズの歴史や進歩に果たした貢献度は限りなくゼロに近い。本作を聴いて深い感動を覚えるジャズフアァンもいないはずである。
”アー詰まんないの買っちゃった。””こんなの買うんなら、まだまだ他に名盤があったのに。”彼らの作品を聴いて最初に感じるものは敗北感のみである。では何故騙されることを知りながらまたスリーサンズのCDを買ってしまうだろうか?それはきっと彼らの作品から醸し出されるリラクゼーション効果や気持ち良さを求めてのことなのだろう。チームの売りはオスカーピターソンにゴスペルをまぶしたようなタッチのジーンハリスのピアノ。決して彼を煽ることはしないが、安定感のあるクッションを提供する、バックのアンドリューシンプソンのベースとビルドゥディのドラムス。何の破たんのない予定調和でスタンダーズの世界を構築するピアノトリオである。
彼らにジャズのくんずほぐれつの激しいアドリブの応酬とか息を飲むようなインアプロビゼーションプレイを求めてはならないのだ。所詮こんなスリーサウンズである、ただ楽しめば良いのである。”気持の良いことは常に正しい”というセンテンスを金科玉条にして、外道の敗北感を糧に聴き倒せば良いのだ。彼らの作品に優劣はなく、何を聴いても大した違いはない。単なる一服の清涼剤のBGMとして利用すればよいのである。きっと何度か繰り返して聴くうちに、スリーサウンズのジャズはあなたの宝物に変わって行くはず。ジャズの王道を歩んだあのアルフレッドライオンのブルーノートから、何故こんな無害無臭のピアノトリオがリリースされたのかは、ジャズの七不思議の一つではあるが・・・