無駄に厚く,まとまりがない
★★☆☆☆
本書のように広い領域を俯瞰する内容を扱う場合,複数の執筆者が書いたものを編者が上手くまとめる必要がある。しかし残念ながらこの本ではそれができていない。
例えば,金属絡みの内容は9章に出てきたと思ったら,17章になってまた出てくる。さらに,前章と同じことをクドクド書いているかと思うと,全く別のことに触れていたり・・・と,散漫でまとまりが無いため文章量が膨大になり,通読には骨が折れる(自分は死ぬかと思った)。通読向けでなければ,辞書的に使えばいいのかというとそれについても中途半端。公衆衛生以外の分野では,結局他書を参照することになるだろう。総じて,基本事項としては重すぎ専門的には軽すぎ,ある意味,薬学を体現した教科書と言える(勿論誉めてはいない)。
少なくとも,教授の授業が難解orテキトーであることを苦にしている薬学生を救う本では無いので,単なる国試対策なら予備校などの参考書を,深く知りたいなら他の専門書を購入することをお勧めする。
…以上より,星1つにしようかと思ったのだが,この本でさらっと書いてある文章が,そのままさらっと国試に出たりするので,やってムダにはならない。効率は悪いが,読めば普通にタメになるので,次版での改善に期待して星2つにしておく。