1963年に録音されたグラシャン・モンカー・3世の初リーダー作。主役のトロンボーンに加えて、トランペットにリー・モーガン、
アルトサックスにジャッキー・マクリーン、ヴィブラフォンにボビー・ハッチャーソン、ベースにボブ・クランショウ、ドラムに
トニー・ウィリアムスが参加しています。
全体の雰囲気としてはまさにアヴァンギャルド、ポストバップと言える。つまり精神面での自由さ独創さが問われる。それに呼応
できれば深みに嵌まれる。が、やはり体感面のノリは乏しくなる。その感覚をよく顕しているのが2曲目のタイトルトラック。
10分を越える曲だが、あまりに起伏に欠ける。これを聴いて陶然となるか退屈を覚えるだけかで好みがわかる。
演奏面なら、フリー・フォームなトニーと鋭いアプローチのハッチャーソンがいい。モーガンはどちらかというとおとなしく雰囲気に
従ってるけど、3曲目のソロパートは特筆もの。
主役のボントロは作品と同じで、流麗なフレージングではなく、より具体的なアーティキュレーションをぶつけてくる。これも結局は
好みの問題で、それによって創造が広がる人もいれば、どことなく人情味に欠ける、つまり機械的な感覚が嫌いな人もいるでしょう。
それにしても終曲はタイトルからして笑えるが、内容も変な想像を喚起させられてニヤついちゃう。
まとめれば、この作品は個々人の生動を楽しむというより、全体としてのイデオロギーが生動するのね。よってジャンルに縛れない
自由な空気感を味わえる。

RVG Editionでのリマスターです。トロンボーン奏者としてのグレシャン・モンカー3世は、J.J.ジョンソンやカーティス・フラーとは異なった音楽性を持っていると思います。初リーダー作となった本作を聞くと、ハードバップから一歩前に踏み出したジャズを感じます。いわゆる新主流派のミュージシャン、ハッチャーソンとウィリアムスが参加しており、特にタイトル曲のEvolutionは斬新な曲構成で新主流派的です。特にウィリアムスが全般にわたって素晴らしい。トランペットのモーガンもここでは自己主張することなく作品に貢献したプレイをしています。曲はすべてモンカーのオリジナル。１曲目のAir RaidやThe Coasterは、印象的なメロディーがアンサンブルとソロパートが耳に残るナンバーです。モンカーの代表作に数えてよい傑作と思います。