90年代中頃から”70年代感覚”と評されるアルバムが次々に登場している。例えばディアンジェロやマックスウェルやエリック・ベネイなどのニューソウルの影響を受けたR&Bアーティスト達の登場。またHIPHOPの元ネタとして70年代ソウルの生音が新鮮な響きを持っていることなど、背景はいろいろある。現在のブラックミュージック(BM)を中心に聴いている世代にとって、最近のBMの中に70年代ソウルが生きているという感覚が強い。そんな現代BMの視点から70年代ソウルを覗いたのが本書である。
本書は現代のBMのベースとなった音楽を知るには最適の書である。
ただのアルバム紹介本ではない。70年代の音楽シーン全体の流れが分かり易く分類され、各テーマごとに概論が用意されている。本書のコンセプト通り”マニアックなのに初心者に優しい”のだ。70年代ソウルをリアルタイムで聴いていた方にとっては違和感を覚える点もあるだろう。だが、私の父はノスタルジックに浸っていた・・・