洋楽にお洒落感覚を求める人にとって，マスト・アイテムなのがAORとブラック・コンテンポラリー。いわゆるブラコンだ。ソウル／Ｒ＆Ｂファンの中にはそうした軟弱な姿勢を嫌う人もいて，いわゆるブラコン系の音を聴かない人もいるが，好き嫌いは別にして，ブラコンが’80年代のミュージック・シーンを席巻したことは間違いない。こうした風潮は日本だけかと思っていたが，案外そうでもないようで，本場のヒップホップ・アーティストの中にもこの手の曲をサンプリングしている例が少なくないことから結構，ブラコン支持層って幅広いんだなと思う。
　そんなブラコンの名盤を集めて紹介したのが本作。450枚という紹介作品数の多さもさることながら，通常のソウル／Ｒ＆B系ディスク・ガイドブックなら選から漏れてしまうような通好みのアルバムも多く紹介されているのが嬉しい。「ブラコンって聴いてみたいけど何を聴いたらいいのかわからなくて・・・」というビギナーにも，「そういやこんなアルバムあったよな」と思いにふけるマニアにもお勧めの１冊だ。
　ただ，アレサ・フランクリンやオージェイズ，チャカ・カーンのアルバムまで’80年代に発表されているからという理由でブラコンに入れてしまうのはやや強引だな。