主人公は斎藤一だが、第三巻の本書は斎藤と沖田総司の絡みがメイン。そこに、己の武士道を貫こうとする土方が組織造りに躍起になっていて・・・新選組幹部隊士たちの結束が固いことと、近藤×土方はもちろんのこと、山南×土方、斎藤×土方などの各隊士がなかなかいい仲間というふうに描かれているのも好感が持てる。山崎蒸の使い方もよい。
3巻から登場する男色家らしい武田観柳斎、蘭方医、会津藩から遣わされた柴司なども独特な味があるし、壬生狂言、日光東照宮と京都の方角の謎、という小道具をからませながら、今ひとつ信用されていなかった新選組が、池田屋事件を経て、京都においてなくてはならない存在へと上り詰めていく過程が描かれている。特に池田屋騒動のエピソードは、かなり史実どおり。総司の病が進んでいくことに気づいている土方と斎藤という設定も面白いし、作者なりの歴史感、会津や新選組に対する考え方というものがうっすらと見えてくる巻で、興味深かった。
早く続きが読みたい。