緑の対位法
★★★★☆
全体が三部に分かれ、第一部は声楽的スタイル(厳格対位法に相当)、第二部は器楽的スタイル(主にバッハを範とする)、第三部は模倣(カノン、フーガ)を扱っています。
対位法の本としては比較的広い内容をカバーしており、説明の仕方に工夫が見られる箇所もあります。ただ、構成や記述のスタイルが今ひとつ体系的でなく、悪く言えば雑多な感じがします。著者の思いつくままに書かれているのでは?…と思えるようなところもあります。読み通すには、ゴチャゴチャしたものから何かを抽象できる能力が必要になってくると思います。
初版は1955年です。本文中で参照されている著者の他の本は既に絶版となって久しく、また文献表に掲載されている本(ほとんどが洋書)も現在は入手困難なものが多くなっています。ただしもちろん、扱っている内容の性質上、古い本だからといって価値がないというわけではありません。