初めてERPを選定するSIerやユーザー企業に最適な本。
パッケージ選定するにあたり、選定基準や留意点など様々な観点からヒントが散りばめられていた。また、内部統制やIFRSなど、基幹システム導入に重要な要素について書かれている点もよい。特に６章の「製品レポート」は、ERP製品が表形式で評価してあり、パッケージ選定の切り口として役に立った。ただし、曖昧なデータもあるので、詳細はパッケージベンダーへの問合せや資料請求をして確認する必要がある。

ERPものは継続性と網羅性、そして時代性が重要なので、その意味で日経のこのムックは毎年購入しています。今回は国際会計基準がエポックなので、経営に向けての理論武装用に助かります。事例もいいですが、もっと多取り上げてもらえればさらに有難い。願わくは、このシリーズの継続を頼みます。

第４章の冒頭に、『ＥＲＰパッケージを導入した企業の４割以上が、導入したＥＲＰを入替えたり入れ替えを検討している』とあり、その最大の理由が、『ＥＲＰを導入する企業にＥＲＰの導入や活用を推進できる人材が確保できていない』と指摘している。この指摘は的を得ている。執筆者は、企業内でＥＲＰの導入や活用を実際に推進した人物のようで、記事の内容に説得力がある。導入したＥＲＰを活用できていない企業のＥＲＰ関係者には、ＥＲＰ導入後の業務改革についても、その前提である『業務プロセスの見える化』を行う具体的な手順を丁寧に解説している。