オリゲネスの再評価
★★★★★
オリゲネスははじめて体系的な教義学を打ち立てた人物とされ、その意味ではアウグスティヌスやトマス・アクィナスとならぶ教義学者といっても過言ではない。しかし字義にとらわれない聖書解釈は死後200年後に異端判決を受け、その名誉が解決されたのは1989年のことである。
さて本書では前半でオリゲネスの生涯を示し、後半で彼の思想を解説している。著者の小高氏は『諸原理について』をはじめとする主要著作の翻訳を手がけており手堅くまとめられている。
最良の入門書といっても過言ではないだろう。本書を契機にオリゲネスの再評価が進むことを期待したい。