ミュージカルの世界では、今や引っ張りだこの歌姫・新妻聖子さんのアルバムをじっくりと聴きました。

曲によって発声を変えることで全く違う雰囲気を漂わせることができる実力の持ち主です。発声も音程も歌唱力も格別の水準に達していました。上智大学出身の帰国子女ですから「The First Star〜上を向いて歩こう〜」での英語の発音も申し分ありません。

5000人のオーディションから選ばれたというデビュー時の逸話や、現在上演の『キャンディード』でのクラシック歌手を凌駕するようなソプラノを見聞きしますと、ますます今後が楽しみになるような、ジャンルを問わずに歌える希有な素晴らしい歌手です。

新妻さんが主役の映画『アンダンテ(現在上映中)』の主題歌「アンダンテ」は感動的な熱唱です。彼女の作詞、お姉さんの新妻由佳子さんの作曲で、どちらも水準が高く、これから姉妹での作品がまた多く生みだされることでしょう。

「愛をとめないで〜Always Loving You〜」「Time To Say Goodbye」ではミュージカルで鍛え上げた発声を披露していました。透明で力強い高音は彼女の強い個性ですし、美しい響きは一度聞けば虜になるような魅力に溢れています。絶賛していますが、それだけの値打ちのある歌唱ぶりで、聴く人を必ず魅了する内容ですので。

「青いカモメ」「ひとつ」での切々とした歌唱力と説得力。歌に心が込められ、信念が貫かれているのでリスナーを感動させるのでしょう。
「ヴァージン・ロード」のようなしっとりとした歌唱も実に見事でした。低音も高音もよく響きます。なにより、日本語が明確に伝わってくるので、曲のイメージが鮮烈に浮かび上がってきます。どんな曲でも曲負けすることなく歌いあげていました。