アンデルセンのこの全集を読んでみてわかったことですが、やはり一部にはどう考えても子供向けではないものが含まれています。例えば「バラの花の精」の話の中には「頸を切り落とす」というような強烈な表現が出てくるのですが、結構ブラックな感じがします。岩波少年文庫の存在意義というのも少しわかったような気になりました。全部で26話の小作品からなりますが、私の印象に残ったものを下記のように偏見をまじえた簡単な説明にてピックアップしてみます。
・バラの花の精
兄に恋人を殺された娘がその頸を掘り起こし・・・・ちょっと怖い!
・豚飼い王子
姿形で人を判断することへの戒めが込められています。
・天使
アンデルセンの宗教観がよく出ています。子供は死んで天使になれるかも知れません。
・みにくいアヒルの子
読んでみると意外なストーリーに驚かされます。
・モミの木
ちょっと悲しい話。人生が凝縮されているようです。
この本のなかには2ページしかないような短編も含まれています。これらの短編は一種の散文詩のようで、美しいフレーズなのですが、意外に理解しにくいような感じでもありました。