取り上げられている小説は、見出しになっているだけで50編。漱石、太宰などの「定番」作家から、「日本文学が趣味です」というのでもなければあまり目にしない(とは言っても文学部学生辺りには「常識」の作家ばかりだろう)作家の作品まで幅広く取り上げている(いわゆる「現代の流行作家」は扱っていない)。
昨今流行する「説得する文書の書き方」「論理トレーニング」というようなハウ・ツーものではないけれど、「日本の小説」を知る一助とはなる本だ。
但し、急速に本が短命化している今日、本書を読んで「面白そうだ」と愡れた作品であっても、絶版になっていることもあると思われる。