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女王の復活 (創元推理文庫 518-4)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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生命は愛を呑み込んで尚深い ★★★★★
アッシャは生きている? 恋人が生まれ変わって自分の許に再び帰ってくるのをアフリカの奥地で二千年間待ち続け、そして生命の炎の中で醜い残骸となって崩れ果てた筈のあの永遠の女性、「服従せねばならぬお方」アッシャの幻を追い求めて、エジプトの神官カリクラテスの生まれ変わりにして稀代の美男子レオと、彼の後見人であり語り手である醜いホリーが、遍歴の果てにチベットの奥地で見い出したものとは! 謎の女性、ヘスの正体とは? カルーン全土を巻き込んだ大戦争の行方は? 世界をも征服出来る恐るべき精霊の力は解放されてしまうのか?

ユングが「アニマ」に喩え、H.ミラーが「最も魅力的な女性」と絶賛したことで知られる、一度読んだら誰もが忘れられない強烈な女性を描いた前作『洞窟の女王』から18年経って書かれた、正式な続編。彼女はこの他、未邦訳のふたつの作品にも登場しているが、時系列的にはこの作品が一番最後にくることになる。怒濤のその結末は読者自身の目で確かめられたい。

ひとりの男性への愛によって永遠の生命を保ち続けていた「彼女」の姿は、正に西洋的なすさまじい執着の象徴であるが、この続編では、仏教的な視点をアッシャの熱情から一歩離れたところに置くことによって、物語により広い、尽くし難い印象を獲得させることに成功している。仮初めの生を激しく生きることの意味がここにある。