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ゴプセック・毬打つ猫の店 (岩波文庫)

価格: ¥756
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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解説も良! ★★★★☆
この文庫の価値は、収録されているニ作品がバルザックの人間喜劇において占める重要性からも明らか。
まず、「毬打つ猫の店」は人間喜劇の第一巻の巻頭に位置づけられた作品で、作品の最初の方では人間喜劇を貫く方法が示されている。
すぐれて19世紀的というか、キュヴィエの化石、古生物学、シャンポリオンのヒエログリフ解読のメタファーを援用しつつ、「化石=断片からその全体像を過去に向けて復元する古生物学的な知」=>「個々の作品=断片から人間喜劇と言う全体を構築する」と言うふうに彼の手法が説明されている。

一方「ゴプセック」は、その作品改定の経緯や、登場人物の一人であるレストー伯爵夫人があの「ゴリオ爺さん」の娘であることからわかるように、いわゆる<人物再登場>という方法により再構成された結果、人間喜劇の中心である「ゴリオ爺さん」とかなり密接な関係を持つに到った作品である。
さらにバルザックは登場人物だけでなく、作品間に金銭を流し込むことで、作品間に有機的関連を発生させ、極めてブルジョア資本主義的世界観に裏打ちされた特異なバルザック的世界を現出させている。極論すれば「ゴプセック」や「ゴリオ爺さん」に代表される作品群は、19世紀ブルジョア資本主義的な構造を持つ小説群と定義することもできるわけだ。
このように、バルザックの人間喜劇は「それぞれの作品は同じ物語構造を反復し、拡大しながら変奏して」いき、「作品のネットワーク、相互が」関連し共鳴しあっていくものなのである。
ひさびさにキマシタ ★★★★★
バルザックの作品は文庫で出ているものを中心に読んでいます。
これは中でもゴリオ爺さんの次くらいに気に入りました!
ゴプセックは久々に「濃い」登場人物で、これぞバルザック…と思いながらにやり。
話は違うのですが、ゴリオ爺さんとラスティニャック、ゴプセックとデルヴィルの関係がなんとなく似ていて、「ゴリオ爺さん」好きな方にはおすすめです。
訳者の解説から読んだ方がよかったかな。 ★★★★★
 教科書では知っていたが、読んだのは初めてのバルザックの小説。日本人が読みやすいように改行を多く取り入れた(バルザックの小説は改行が少ないらしい)新訳なので、とても読みやすかった。そして、予想以上に面白かったので、★★★★★にしました。
 書かれた時代は、約180年も昔のことなので、フランスの貴族社会の背景を理解したほうがいいかもしれない。そういう意味では、訳者の解説から読んだ方がよかったかもしれない。

 「ゴプセック」は、登場人物をしっかりと押さえて読んでいかないと、時々、混乱するかもしれません。1829年から1830年のグランリュウ子爵夫人のサロンでの出来事から始まる。娘のカミーユが恋するレスト−伯爵の子息について、子爵夫人の代訴人デルヴィルさんが、高利貸しゴプセックの話題を中心に語る。

 解説のよると、「ゴプセック(←パパ・ゴプセック←身の過ちの危険・タイトル変更)」→「ゴリオ爺さん」→「人間喜劇・娼婦の栄光と悲惨」と話が受け継がれていく。

 ラシャ(ポルトガル語:raxa・毛織物の一種)を売る「毬うつ猫の店」の経営者ギョーム氏には二人の娘、ヴィルジニー(28歳)とオーギュスチーヌ(18歳・神が授けた子・両親がわからない)がいた。画家のテオドール・ド・ソメルヴィユは、妹のオーギュスチーヌ(商人の娘)に恋をし、彼女の絵を描き、当時の官展(サロン)で大評判となったことから、オーギュスチーヌ嬢と結婚することになるが。
 
 文庫で約250ページの小説で、値段は少し高いかもしれませんが、バルザックに少し興味のある方には、お勧めだと思います。