スラブ民族の英雄べーシスト・Miroslav Vitous師が世に問う「Weather Reportの追憶」
★★★★★
「名は体を現す」とは良く言ったものだ!彼の親御は、世界中どこへ行っても自分らの誇らしき民族の魂は忘れるな!とばかり First NameへSlavを織り込んだんであろうか?! Miroslav Vitous(以下MV)は言わずと知れたWeather Report(以下WR)創業時からのオリジナルメンバーであるが、俗に言うサード・べーシスト「ジャコ・パス」路線が繰り広げたファンク他路線とは全くの別物語であることやその当時のレパートリーは再現してない、と、MV師本人も前置きした上で、本作品「ウエイン・ショーター及びLonely Womanをモチーフにした」変奏曲2題、Joe Zawinul師へ捧げた楽曲、“Black Peopleの崇高さとスラブ民族の魂の融和”を基本骨子に、その当時70年代にMV師がWRに表現し切れなかった思いが、いっぱい詰まった秀作かな。
競演者の一人、デトロイト出身 Gerald CleaverはJack Dejohnette’s Conceptを実に良く理解し、体現できる頼もしきドラマーを発見できたことは、副産物として大きな収穫であった。なによりアルバム構成とMV師コンセプトを引き締め高める上で、サイドメンに起用したのは正解であった。
行間を読めということか。
★★★★☆
まだ購入して3回ぐらいしか聴いていないのでなんとも言えないが、『UNIV. SYNC』と『UNIV. SYNC.2』のそれぞれともまた大きく発想を転換して創られたアルバムという印象。全体的にはフリージャズ的な世界観の中にWEATHER REPORTのエッセンスを閉じ込めてしまっていて、初期の頃の良きWEATHER REPORTを垣間見ることは、少なくとも私にはできなかった。個人的には#5のWHEN DVORAK MEETS MILESという曲がもっとも興味深く印象に残った。内容としては悪くはないが実験的要素が目立ってしまっているのがなんとなく慣れるまで時間がかかりそうな気がする。ECMのジャケ写はその音楽的内容にマッチしていないことも多いが、本作はぴったりの根暗な1枚。聴き込むことによって病み付きになりそうな予感もするのでもう少し時間をかけてみたい。余談だが、ECMのアルバムに共通する、再生してから5秒間は曲が始まらないのは、デジタル時代にはじれったい感じもする。