学ぶべきユニークな鍼灸治療書
★★★★★
著者の『臓腑経絡学』を読んで教えられることが多かった。
その後に出版された『経穴解説』では、
まさに著者の豊富な臨床経験から導き出された
経穴のもつ多彩な特性を学ばせていただいている。
そして本書である。
『経穴解説』の中にも断片的に本書の内容、
すなわち著者の言う空間論の知識が織り込まれていて、
その詳細を知りたく思っていた。
医療、特に鍼灸に携わる者にとって、
人間の体を如何にとらえていくかということは当たり前に大切である。
著者はこの点において、従来のとらえ方に加え、
三次元的空間物体として人の体をとらえるという、
新たな具体的臨床手法を応用できるレベルにして、
本書の中で丁寧に解説してくれている。
この空間論的手法を加えることにより、
決して経絡的な概念だけでは特定できないと思われる治療穴が選択され、
素晴らしい治療効果が得られている。
とにかく、本書を何度も読み返しながら大いに刺激を受けつつ、
自らの臨床を通して学ばせて頂いている。